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Age of Wonders III 【えいじ おぶ わんだーず すりー】 ジャンル ターン制4Xストラテジー 対応機種 Windows XP, Vista, 7, 8, 8.1Mac OSX 10.9.3 ~ 10.13SteamOSUbuntu 14.10~ 発売元 Paradox Interactive(*1) 開発元 Triumph Studios 発売日 2014年4月1日(Windows)2015年4月14日(Mac) 定価 2,980円 プレイ人数 1~8人 判定 良作 ポイント 公式日本語非対応だが有志による日本語化modあり 概要 システム 共通部分 ランダムマップ特有 評価点 賛否両論点 問題点 総評 発売後の出来事 概要 オランダのTriumph Studiosが制作してきた『Age of Wondersシリーズ』の作品となる。 Triumph Studiosは『Age of Wonders』(1999年)、『Age of Wonders II The Wizard s Throne』(2002年)、『Age of Wonders Shadow Magic』(2003年)というSRPGを発売してきた。 Triumph Studiosは『Age of Wonders』発売時に、同作は『Master of Magic』(1994年)の精神的後継作であるとしていたものの、『MoM』のファンから「再現できていない」との批判を受けることとなった。特に4X部分は全く再現できていなかったのだが、本作は11年ぶりに再び『MoM』という高い壁に挑んだことになる。 システム 本作はSRPG様の「シナリオモード(キャンペーンを含む)」と、4X様の「ランダムマップ」の1本で2倍楽しめる構成となっている。 共通部分 地形 マップはヘックスのタイルで区切られている。 地上と地下がある。 さらに地下2Fも作成可能。地下がないマップも作成可能。 地下がある場合、地上に地下への入り口が生成され、キャラクターがそのマスの上に載ると「中に入る」というボタンが出現。クリックすると地下マップに移動する。放置すれば地上のままとなる。行き先を指定してキャラを移動させる場合、地下経由のほうが移動コストが低い場合には自動で判断して地下を通ることがある。 地下を掘って拡大するスキルを付けられるヒーローがいる。 陸、海、川(湖)と大別できる。 地下には溶岩の海もある。 海、湖は研究(後述)の「新人船乗り」を研究し終わると、『Civilization V』のように各部隊が船に変形して水上を移動できることになる。ただし、岩礁だけは立ち入れない。なお、飛行ユニットだけの部隊は当初から陸と変わりなく海も岩礁も移動可能。 川を渡るには「ビルダー」ユニットにより橋を架ける必要がある。ただし、川幅が1タイルの幅の部分にしか架けることが出来ない他、対岸が山岳などでも架けられないなど制約が多い。飛行ユニットは川を陸と変わりなく移動可能。 陸地は、極地、熱帯、温暖、火山、荒廃の気候(?)と、森林、山岳、肥沃な平野、荒野などの組み合わせとなっている。例えば、「火山の森林」、「極地の肥沃な平野」などとなる。 本作ではタイル自体には全く出力がない。「温帯の肥沃な平野」であろうが、「火山の山岳」であろうが、それ自体では食料も工業力も貨幣収入も何もない。なお、本作にはそもそも食料のパラメーターはない。 「テラフォーマー」という魔法で自国の都市の範囲内のタイルの地形を変えることが出来る。気候は変えられない。 特殊化(Specialization)の魔法の中には都市の範囲内のタイルの気候を特定のものに変えるものもある。 建物 地形の上に建物があり、それらの建物を都市の範囲内に入れることで、貨幣収入や生産力、マナの採取が初めて可能になる。 建物はゲーム開始後は増えることはない。プレーヤーが建てることは出来ない。 種族 バニラでは6種類の種族がいる。 + 種族概説 オーク 各ユニット HP +5, 近接攻撃力 +1, 射撃攻撃力 -1, 戦闘終了後にHP が10回復。 ゴブリン 各ユニット HP -5, ユニット製造コスト -10%, 毒耐性 +40%。 種族固有ユニットの約半数に近接攻撃に毒攻撃が付与されている。 人口増加 +20%。さらに前哨地と村は +5の人口増加を得る。 ドラコニアン 竜神族。各ユニット 火炎耐性 +20%, 氷雪耐性 -20%, 高速回復。 種族固有ユニットの約半数に近接攻撃に火炎攻撃が付与されている。 得意な地形 荒野, 溶岩 苦手 極地 ドワーフ 各ユニット 防御 +1, 耐性 +1, 毒耐性 +20%。ユニット製造コスト +10%。 ドワーフのユニット(含むヒーロー)は山岳地形を通常地形と同様の移動コストで移動可能。 得意な地形 山岳, 山脈, 洞窟の壁, 岩盤の壁 ハイエルフ 各ユニット 耐性 +1, 射撃攻撃力 +1, 射撃攻撃に ショックボルト+1, 毒耐性 -20%。 ハイエルフユニットは森林のタイルの移動コストが通常タイルと同じとなる。 都市の人口増加 -10%, 研究力 +3。 ヒューマン 都市の生産力 +10。地下が苦手。 ハーフリング DLC「Golden Realms Expansion」にて追加。 各ユニット 近接攻撃力 -1, 射撃攻撃力 +1, 物理防御 -20%, 通常で15%の確率(最大22.5%)で完全回避が起こる。 ハーフリングユニットは森林のタイルの移動コストが通常タイルと同じとなる。 ティグラン DLC「Eternal Lords Expansion」にて追加。猫人族。 各ユニット 耐性 -1, 精神耐性 +40%, 氷雪耐性 -20%。 都市の貨幣収入 +5。 フロストリング DLC「Eternal Lords Expansion」にて追加。 各ユニット 氷雪耐性 +60%, 火炎耐性 -40%, 物理攻撃の攻撃力 -4 氷雪攻撃 +5。 得意な地形 肥沃な平原 苦手な地形 地下, 荒廃 嫌いな地形 火山, 熱帯 クラス バニラでは6種類のクラスがある。 クラス毎に生産、召喚できる固有ユニットが全く異なる。研究によって習得できる魔法も異なってくる。 + クラス特徴 ※ 以下の説明文は日本語化mod適用済みで表示されるゲーム内の説明文のママ。 アークドルイド 強力な召喚ユニット 強力な射撃ユニット モンスター、動物ユニットへのボーナス 都市生産ユニットの弱さ ウォーロード 非常に強力な従来の軍勢 騎兵、歩兵、槍兵のボーナス ゴールド収入の強化と安価なユニット 魔法の弱さ ソーサラー 強力な召喚ユニット 支援ユニットの強化 ショックボルトダメージの強化 都市で生産される軍勢の弱さ テオクラット 支援ユニットの強化 神聖ダメージの強化 多彩な回復手段 ドレッドノート 機械ユニットは頑丈で強力ですが、遅い上に修復が困難です。 膨大なゴールド収入と生産力を経済基盤としています。 魔法が弱点です。 ローグ 隠密性と素早いユニット 毒ダメージの強化 敵国経済への強力な攻撃魔法 非正規ユニットへのボーナス ネクロマンサー DLC「Eternal Lords Expansion」にて追加。 強力な召喚ユニット ユニットや都市のアンデッドへの変化。 アンデッドユニットや都市は、士気や幸福度のペナルティを受けない。 アンデッドユニットは精神属性の攻撃に弱い。 ヒーロー 種族 × クラス × 性別の掛けあわせで、バニラで80名弱の固有のヒーローがいる。いずれも固有名、専用顔CG付きである。 ヒーローユニットのみ、装備の変更が可能である。レア装備を付けて暴れまわれる。 ヒーローユニットがレベルアップするとスキルポイントが得られ、そのユニットのクラスに応じたたスキルを習得可能である。 帝国 帝国の性格は、指導者(であるヒーロー)のクラスによって大きく異なってくる。 なお、指導者は戦闘で死んでも首都が無事であればキャラロストしない。 アライメント プレーヤーの行いを善悪で評価したパラメーター。 アライメントが低いと中立勢力と和平を結びにくくなる。 幸福度 ややこしいことに幸福度は独立して3種類ある。 帝国の幸福度 敵勢力と和平を結ぶ、クエストなどで中立勢力を併合するなどすると上がり、自国の都市を失うと下がる。 種族との幸福度 全種族および、全レア種族についてバラバラに管理されており、中立勢力の都市と同盟を結んだときに、その中立勢力の種族と同じ種族の幸福度が上がり、攻め滅ぼすと下がる。 都市の幸福度 その都市に住む種族とその都市の範囲内の地形との相性に左右される。 都市の幸福度を上げる建造物もある。 ソーサラーの最強攻撃魔法を都市の範囲内で詠唱すると、都市の幸福度が一時的に下がる。 都市 セトラー(開拓団)ユニットによって都市を建設する。 最初は「前哨地」となり、中心から2ヘックスまでの距離の計19タイルが前哨地の範囲となる。人口が増えることで、「村」「街」「都市」「大都市」と名称が変わり、都市の範囲が1ヘックスずつ増加する。 地下にも都市を建設可能。地下大好きドワーフや、地下嫌いなヒューマン、エルフなどの種族によって好みが分かれるので注意が必要。なお、特殊化(Specialization)の魔法の中には、その都市の住民を地下好きにするという魔法がある。 都市の建造物に副次的に都市の範囲を拡大するものがある。 都市はただあるだけで基本の人口増加(前哨地で毎ターン +100)、貨幣収入(前哨地で +2)、生産力(前哨地で +20)がある。都市の規模がレベルアップすると、それら基本出力も増える。 都市の範囲内に建物が含まれていれば、その都市は追加の貨幣収入や生産力、マナの採取、研究力、人口増加や幸福度などを建物から得る事が出来る。 人口は都市のレベルに応じて毎ターン勝手に増加する。 各種族は地形に好き嫌いがあり、好きな地形が含まれていると都市の幸福度が増加し、人口も増加しやすくなる。逆に苦手な地形があると幸福度が下がる。なお、特殊化(Specialization)の魔法の中には、その都市の住民を特定の気候が好きになるように変える魔法がある。 人口を増やす効果のある建物もある。 人口を増やす効果のある都市の建造物(倉庫)もある。 都市に建造物を作ることで都市に機能を付与できる 都市の建造物は『Civilizationシリーズ』のように研究によって解禁されるものではなく、建造物自体がツリー形式になっているだけである。例えばマナを生産する建造物は、祭殿→寺院→聖堂という順に建てていかなければならない。 維持費が掛かる都市の建造物はない。 建造物を建てることで生産が可能となるものがある。例えば… 兵舎…歩兵、弓兵が生産可能となる。 寺院…支援ユニットが生産可能となる。 建築ギルド…セトラー、ビルダーが生産可能となる。 港湾…艦船が生産可能となる。都市の中心タイルが水域タイルに接していないと建設不可。 中立勢力の都市が存在する場合がある。 その中立勢力の種族と険悪でなければ、その中立勢力の出すクエストを完遂することで、和平や同盟を組めたり、最終的に併合できたりする。 併合した場合にその都市にて作るユニットはその都市の種族のものとなる。種族によっては毒耐性や、射撃能力が高いなどのメリットが有る物があるため、特定のユニットはその種族で生産するという戦略もある。その都市でセトラーを作ると、その種族の都市を他所にも作ることが出来る。これにより、指導者の種族では苦手とする地形にも都市を建てることが出来る。なお、都市画面で「〇〇を移住させる」ことにより、都市に住む種族を変更できるが、やっていることは民族浄化なので、元々居た種族に対する幸福度が大幅に下る。 レア種族の居住地が存在する場合がある レア種族にはバニラでは、巨人、ドラゴン、フェイ、アルコンがいる。 巨人、ドラゴンのユニットの攻撃力は凄まじいものがあり、またフェイの一部ユニットはワープ能力があり城壁の内外に移動可能であるため、敵に回すと厄介である。 中立勢力の都市と同様にクエストにより、和平、属国化、併合が出来る。ただし、そのクエストの内容が、別のレア種族の居住地を滅ぼすことだったりする場合もある。 レア種族の居住地には人口のパラメーターはなく、都市のように規模がレベルアップすることはない。 レア種族は都市の建造物「建築ギルド」を作れないため、セトラーを作れない。このため、レア種族の居住地は増やせない。 独立勢力 以下の2種類がいる 建物を占拠している独立勢力 建物は独立勢力に占拠された状態でゲームが始まるため、これらを排除しないとその建物を都市の範囲内に入れても資源が得られない。 建物を占拠している独立勢力は自分からは移動しない。戦闘を仕掛けても来ない。 建物を占拠している独立勢力に戦闘を仕掛けた場合、戦闘前に降伏を申し出る場合がある。「逃す」を選ぶと戦闘は起こらずに建物を占拠している独立勢力はどこかに消える。「容赦しない」を選ぶと戦闘となる。 放浪ユニット マップ上に「盗賊の巣窟」「モンスターの巣」などのジェネレーターがあって、そこから定期的に独立勢力の放浪ユニットが発生する。 自分より格下だと判断すると戦闘を仕掛けてくる。 基本的に、放浪ユニットは独立勢力下ではない監視塔を優先して狙う。おそらく、放浪ユニットはマップ全体の地形は見えている模様。放浪部隊なので、建物を占拠したままにはならない。 魔法 研究 帝国にて魔法の研究を行う。天文台などの研究力を提供する都市の建造物を建てるか、研究力のある建物を都市の範囲内に入れることで研究力が得られる。 種類 魔法の研究ツリーは、各クラス共通のものと、クラス固有のもの、そして特殊化(Specialization)のツリーがある。 戦闘時のみ戦闘ユニットが使える戦闘魔法と、戦略ターンのみで使用できる戦略魔法がある。HP回復の戦闘魔法は戦闘時以外の戦略ターン中は使用できない。1つの魔法の研究ツリーの中に戦闘魔法と戦略魔法が入り乱れており、戦闘魔法だけのツリー、戦略魔法だけのツリーとはなっていない。 詠唱ポイント 1ターン内で消費可能なマナの量。例えば詠唱ポイントが30の時にマナ消費量が80の魔法を唱えると、3ターン掛かることになる。逆に、詠唱ポイントが30の時にマナ消費量が10の魔法は最大で3回唱えられる。 戦闘 部隊 1部隊は最大6ユニットとなっている。 同じタイル上に2部隊存在することは出来ない。 戦闘 部隊が移動中に隣接する敵部隊に戦闘を仕掛けるか仕掛けられると戦闘に突入する。 戦闘に突入した際に仕掛けられた部隊がいるタイルの周辺6タイルに部隊がいると、応援として自動で加わることとなる。ただし、戦闘を仕掛けた勢力でも、仕掛けられた勢力でもない第三者の勢力のユニットはこの限りではない。 戦闘が始まると部隊のスタックは解かれ、1タイルに1ユニットしか存在できなくなる。 戦闘の舞台は、戦闘が行われるタイルの地形毎に専用の戦闘ステージがあり、そこで行われる。建物のあるタイルであれば、その建物の専用ステージが用意されている。 戦闘開始画面では「手動」「自動」が選べる。 戦闘中は敵味方交互にターンが回ってくるので、自勢力のユニットであればどのユニットを先に行動させるかはプレイヤー次第となる。 ランダムマップ特有 マップ生成以下のオプションが有る(以下の説明文は日本語化mod適用済みで表示されるゲーム内の説明文のママ) ランダム…ランダムに設定されています。 通常…全ての設定が平均的になっています。 戦闘…他プレイヤーや中立都市に対する侵略戦争を速やかに始められる設定です。 建国…資源が多く中立都市がないので、新しい都市を設置するのに適した空白地が広がっています。大帝国を築き上げるのに向いた設定です。 冒険…このオプションでは、既にマップ上にある中立都市を何らかの手段で自国領とすることでゲームが進行します。 + マップ設定詳細 設定項目 ランダム 通常 戦闘 建国 冒険 開始時の都市 ランダム 村 大都市 セトラー なし 開始時のユニット ランダム 普通 戦闘 普通 強い 開始時の各勢力同士の距離 ランダム 平均的 近い 遠い ランダム 道路の数 ランダム 平均的 多い なし 平均的 放浪ユニットの数 ランダム 平均的 平均的 平均的 平均的 財宝 ランダム 平均的 平均的 平均的 多い 中立勢力の都市 ランダム 平均的 多い なし 少ない レア種族の居住地 ランダム 平均的 平均的 少ない 多い 資源を産出する建物 ランダム 平均的 少ない 多い 少ない 訪問ボーナスのある建物 ランダム 平均的 平均的 平均的 平均的 財宝の眠る建物 ランダム 平均的 少ない 平均的 多い 設定項目は個別に設定可能で、個別で設定した内容が優先して適用される。ので、「建国」を選んでも中立勢力の都市を発生させることが出来る。 勝利条件の設定 チーム制 最初からシステムによって固定された複数の同盟のチームが組まれており、別チームの勢力とは最初から戦争状態で停戦不可となる。 チームの勝利 こちらは最初から強制的にチームが組まれているわけではなく、最終的に1つの同盟が同盟を結んでいない勢力を殲滅すると勝利となる。 指導者の選択 ランダムマップでは、既存のヒーローだけでなく、カスタムしたヒーローを指導者に選ぶことが出来る。 高度な設定 指導者以外のヒーローも、死んでも首都が無事であればキャラロストしないという設定項目がある。 マップがゲーム開始時に全て探索済みの状態で始まるという設定項目がある。 都市の建設が全くできなくなる(いわゆる One City Challenge)という設定項目がある。 評価点 世界観とそれを強化するシステム 4Xのゲームには珍しく、善悪のパラメーターであるアライメントがあり、それによって研究できる魔法が異なってくる。このことでプレーヤの行動が縛られる。 ランダムマップにてチーム制を選ばなければ、AIはアライメントが近い同士で同盟を組みたがる。 他種族への配慮を強要する、種族への幸福度 おそらく4Xにおいては初めて、各都市の住民の種別に気を配るという要素が付いた作品ではないだろうか。 レア種族の歩兵を使いたい、他種族の射撃ユニットを使いたい、などの戦略が、その種族の都市を得れば叶えられる斬新なシステム。しかし他種族の中立勢力の都市を併合するには、その種族への幸福度が高くなければならない。しかも、種族への幸福度が下がると、その種族のユニットの士気が下がる。 後発の『Stellaris』ほど複雑ではないものの、ゲーム中盤までは新しい都市をどの種族で作るかということにも頭を悩ませる。終盤になると地形や気候を変える魔法などがあるため、逆に大味になるが。 クラスによる性格付け 前述の通り、他種族のユニットは他種族の都市を併合することで生産が可能となるが、他クラスのユニットを生産することはどうあがいても出来ない。 研究により得られる各クラス別の魔法のツリーは全く異なっており、4Xゲームでここまで大きく異なっている研究ツリーは類を見ない。 なお、種族とクラスの組み合わせで最悪な組み合わせもいくつかあることはある。キャンペーン(シナリオ)でそういう組み合わせを強要して難易度を上げているんじゃないかという疑惑がある。 modが適用可能である シナリオモードが有るため、ユーザー作成のシナリオを読み込んでプレイ可能。 2019年末時点で100本程度のユーザーシナリオがSteam Workshopにて確認できる。次作の『Planetfall』が出たため、これ以上は増えないであろうが。 システムを大規模に改変する大型modもいくつか公開されている。 なお、日本語化modはシステムファイルを上書きする形式であるため、Steam Workshopでは公開されておらず、適用は自己責任となる。 日本語化mod https //steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=2320413204 賛否両論点 ランダムマップでも、結局戦闘が上手ければ勝ててしまう。 せっかくの都市発展機能がついたのだが、拠点を増やすことで生産を増やすことはたしかに重要だが、AIと戦闘を繰り返すことで経験を積んだエースユニットでそういった劣勢を跳ね返せてしまう。このことから4Xのゲームとして期待した層からは「ゲームデザインとしていかがなものか?」との声がある。 一方で、自分が育てたキャラが劣勢を跳ね返す様は「俺つえー」派からすると堪らない快感がある。 問題点 UIがやや不便 都市画面 生産のキューに入れた生産物のキャンセルは出来るが、並べ替えには対応しておらず、並び替えたいものを一旦キャンセルして再度、キューに入れてゆく必要がある。 細かいことだが、ボタンの配置が悪い。都市画面の生産キューに生産したいものを入れる「生産する」ボタンが下にありすぎてポインタの移動距離が遠いのと、そこまでポインタを移動すると、マップがスクロールする領域に近づいて、意図せずマップの表示位置が変わったりする。都市画面を閉じるボタンも、部隊画面を閉じるボタンと同じ位置とはいえ、使いやすい位置とは言えない。 研究画面 どの魔法がどのツリーのものなのかの表示はなく、分かりにくい。 都市スパムが可能 都市の数による幸福度の低下が無い。 都市はただあるだけで基本的な貨幣収入が得られる。 都市の建造物に維持費がかからないのも大きい。 もちろん、それらの都市を防衛するための軍隊の維持コストが必要な場面もあるので、都市スパムが最良の手段とは限らないが。 総評 本作はSRPG様の「シナリオモード(キャンペーンを含む)」と、4X様の「ランダムマップ」の1本で2倍楽しめる構成となっている。 クセの強いシステムとなっており、他の4Xゲーム経験者でも戸惑う場面があるだろう。他の4Xに比べて制約が緩い部分はとことん緩く、しかし、他の4Xでは存在しない制約がプレーヤの行動を縛る。 なお、「ランダムマップ」も戦闘が上手ければなんとかなるという非常にSRPG寄りのゲームバランスとなっている。 発売後の出来事 2014年9月にDLC「Golden Realms Expansion」が発売されている。 種族「ハーフリング」追加 帝国クエスト追加 同時期発売の『Endless Legend』には当初から帝国クエストがあり、しかもそれが真エンドであった。完全に『Endless Legend』の後追いで、そこにぶつけてきた感がある。 2015年4月にDLC「Eternal Lords Expansion」が発売されている。DLC「Golden Realms Expansion」適用済みでなければ本DLCは適用できない。 クラス「ネクロマンサー」、種族「ティグラン」「フロストリング」追加 敵AIの改良 『Stellaris』『War for the Overworld』などでは敵AIの改良は本体への無償アップグレードで行われており、それをDLCで有償で提供という姿勢に疑問を感じる。 開発・発売元のTriumph Studiosは2017年にParadox Interactiveに買収され子会社化されている。 これに伴い、発売元がTriumph StudiosからParadox Interactiveに変わっている。 Triumph Studiosのサイトに在った本作および他作品のユーザーフォーラムもParadox Interactiveのサイトへ移転している。 2019年に『Age of Wonders Planetfall』が発売されている。 本作と異なりファンタジーさが払拭されてSF色が強くなっている。 本作において都市の発展要素がいまいちで、戦闘が上手ければなんとかなるというゲームバランスだったことから、「都市の発展要素が本当に必要だったのか?」という声が多かったため、『Planetfall』では文明の発展とともにユニットを格段に強化できるバランスとなり、劣勢を跳ね返し難くなっている。 多分意図的に、本作が各所レビューにて僅差で破れた『Endless Legend』に近い内容となっている。
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雷弩機兵ガイブレイブ 【らいどぎあ がいぶれいぶ】 ジャンル 3Dロボット・アクションRPG 対応機種 プレイステーション メディア CD-ROM 1枚 発売・開発元 アクセラ 発売日 1997年7月17日 定価 5,800円 プレイ人数 1~2人 判定 良作 雷弩機兵ガイブレイブシリーズI / II 概要 本編開始まで システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 過去の戦争で墜落した宇宙戦艦の眠る島「コロッサス島」の少年たちが人型作業機械「ライドギア」に乗り込み、島を脅かす火星軍と戦う様を描いた3Dアクションゲーム。 ロボットアニメを強く意識したタイトルや設定と、2頭身にデフォルメされた体型のメカニックデザインが特徴的。 本編開始まで 月国家シレナイトと火星国家マーシャンズによる人類初の星間戦争・MM大戦の終結には25年を要した。 終戦直前に地球の孤島へと墜落した月軍の戦艦「コロッサス」の乗組員は、月への帰還を断念していた。その島を「コロッサス島」と名付け入植に成功した彼らは地上で平和な毎日を送り、そして終戦から30年の月日が流れた。 ケン、スカリー、ライデン、ジョニーらコロッサス島の少年たちが、いつものようにライドギアの操縦訓練をしていたある日のこと、火星軍のダハー大佐率いる軍用機「オービタルギア」の小隊が島に現れる…。 システム 3次元の移動軸を持つベルトスクロールアクション。 マップ画面を自由に行き来し、拠点へ到達あるいは往復しながらストーリーを進めていく。 拠点の合間にある「草原」「森」「砂漠」「荒野」などのステージでは敵が大量に現れ、ライドギアの出番となる。ロボットゲームらしく遠近様々なタイプの武器を駆使して戦い、突破していく。 プレイヤーは4人の主人公から1人を操作キャラクターとして選択しゲームを開始する。 2人プレイの場合はそれぞれ1人ずつ選択することになる。ちなみに拠点であるケモー博士の研究所に行けば、いつでも操作キャラクターを変更可能。 評価点 爽快感 とにかくこれに尽きる。ロボットを操作し、様々な武器や格闘技を使って敵をバッタバッタと倒していくのは非常に気分がいい。 爆発音も小気味よく、爽快感を後押ししている。 この手のロボットアクションRPGには珍しく対戦モードは勿論、本編も二人で協力してプレイ可能。息のあったプレイで敵を撃破できればテンションも鰻上り。 なお、味方攻撃は設定でON/OFF切り替えができる。アレやコレを髣髴とさせる謀殺プレイも可能だが、友情ブレイクの危険性があるので程ほどに。 演出 武器のバリエーションはかなり豊富。 オーソドックスな剣やロボゲーではおなじみマシンガンの他、ヨーヨーや鷹匠の様に鳥を飛ばして敵を攻撃する色モノ武器まである。ローラーダッシュも完備。 イベントシーンはボイス付きで、声優陣も岩田光央、宮村優子、池水通洋、置鮎龍太郎、青野武、笠原留美、郷里大輔、森功至とかなり豪華。 音楽はメタル系で世界観にあっており、デザインも2頭身のオリジナルデザインとしては中々にカッコいい。 様々な要素の合成 本作は既存のゲームジャンルにおける多種多様な要素が詰め込まれており、それが上手く噛み合っている。 街での移動や買い物、会話や敵を倒して経験値を得て成長、技の習得等はRPG。マップを横スクロールしつつ敵を倒して進むのはベルトアクション。セレクトボタンで発動する無敵の画面全体攻撃、ボンバーはシューティングゲームのボムといった具合。 これだけ節操無く要素を詰め込んでいると、大抵の場合は要素同士が噛み合わせの不備を起こし、何かしらの不便さや違和感を引き起こしがち。そう考えれば、奇跡的なまでに噛み合わせが上手くいっている本作の設計がいかに優れたものであるかが窺える。 適度なボリューム RPGではあるが然程ストーリーは長くなくサクサク進む為、初回プレイでも10時間程度でクリアできる。 このためプレイがだれにくく、さながらアクションゲームのように気が向いた時に何度でも最初からプレイ…といった楽しみ方をしやすい。 手馴れたプレイヤーからは後述の難易度も踏まえて、物足り無さを指摘されることもあるが、この辺りは完全に好みの問題だろう。 賛否両論点 ゲームバランス ライトユーザーを意識したのか難易度は相当低い。 本作の武器は誘導性能のある一部のものを除いてY軸が揃わないと攻撃が命中しない。よって、基本的にその時点で購入可能な射撃系最強武器(サブウエポン)を購入してステージの端っこで撃ち続けていれば、敵の方から軸を揃えようと射線上に動いてくれるので、ノーダメージでエリア内の敵を殲滅できる。 上述の戦法が通用しない箇所は初期武器しか持っていない最序盤、店売りに適当な武器がなく何個もエリアを突破した後にボス戦のある中盤の後半、敵が誘導性能のある武器を使用することに加えて、攻撃を食らってもひるみにくい最終盤の3箇所くらい。それらについても、回復アイテムを大量に買い込んでゴリ押しすれば何とかなってしまう。 コマンド入力による公式裏技(というよりチートに近い)が存在している。 一度入力すればエネルギーもボムも無限。更に獲得経験値・資金は4倍になるなど、完全にゲームバランスなにそれおいしいの状態に。 より派手に戦えるため、爽快感そのものは増す。ゲームを楽しむという点からみれば十分にアリだが、やりこみの意義は大分失われるのでご利用は計画的に。 問題点 システム エリアのスキップができない為、遠隔地に行くためにわざわざエリアを一つずつ突破しないといけない。 シナリオ後半に一度、最後の街から最初の街まで戻る必要があるが、これが原因で非常にめんどくさい。 また、使用キャラの変更も最初の街でしかできないため、変更したい場合も最初の街まで戻る必要がある。この際も勿論スキップはできない。 キャラを変更した際に装備やアイテム・お金は共通で使用できるが、レベルやモーターは各キャラ固有のため引き継げない。 レベルについては上述したコマンドを使用すればそこまで苦も無く最大レベルまで上げられるが、問題はモーター。高性能のモーターは最後の街でしか売っていないため、どのキャラも育てたいという人は、最初の街と最後の街を何度も行き来する必要がある。初期のモーターは移動力が低いため、ただエリアを通り過ぎるだけでも時間が掛かる。レベルと異なりこちらは特に救済措置もない(*1)。 モーターは下取りできないため、金銭的には損になってしまうが、道中でその街で購入できる最高のモーターに更新しつつ最後の街に向かった方が精神的に楽かもしれない。 街で道端の人と会話をするためにわざわざギアから降りなければならないのも地味に面倒。 対戦モードで機体を出現させる為にはその機体を本編で撃墜するか、特定の条件を満たすかして「登録」しなければならないのだが、ラストダンジョン内に登録対象の機体が3体もいる。 特に最後の機体は味方側の機体で、しかもイベントのみの登場。登録したいなら一度ラスボスにわざと倒されてゲームオーバーになる必要がある。 敵のグラフィックパターンがそれほど多くない。後半に行くにつれて、撃墜しても対戦モードに登録されない色違いの機体が多くなる。 内部パラメータの数値ミス 武器関連をはじめとするパラメータがかなりいい加減。 メインウエポンのエネルギー消費やサブウエポンのリーチがステータスの表記より高かったり、低かったりというスペック詐欺が非常に多い。 格闘系の武器は基本的に攻撃力が数値通りでないのだが、中でも酷いのはドリル系の武器。元々リーチが短く、コンボ攻撃もない単発攻撃力特化の武器なのだが、実はその攻撃力が異様に低い。 イベントのために必ず購入する必要のあるジェットモールは表記上ではサブウエポン中最大の攻撃力を誇るが、実はただでさえ弱い(数値上の威力の出ない)ドリル系の中でも最弱。値段もかなり高いため、せっかく購入したんだからとイベント以外で使用すると悲惨な目に遭う。 一方で誘導系武器は強すぎる。回避が非常に困難でシールドで防御してダメージを軽減するしかない。 また2種類あるモーターの内、ダッシュ速度やジャンプ時間の変化など等効果が目に見えて分かりやすいレッグモーターと比べ、アームモーターは格闘系の攻撃力にしか関わらない。射撃主体で行くならアームモーターにはあまり意味がない。 ただし上記のようなパラメータ詐欺に関しては、後年有志が検証した結果判明した情報であり、少なくともプレイ中に違和感を覚えることは少ない。 OP詐欺 OP冒頭は地球近海にいる戦艦から敵が出撃するところから始まるのだが、本編は全て惑星内で物語が進み、OP以外で宇宙および戦艦が登場するシーンは存在しない。OPそのものは非常に格好いいのだが…。 総評 粗は多いが、それでも同時期に発売されたロボットゲームと比較して出色の出来栄えを誇る逸品。 お約束のようなものをこれでもかと詰め込んでいるので、ロボット好きにはたまらない。 そうでなくとも、対戦モードや協力プレイで友人と遊べば、爽快感もあって熱くなれること請け合いである。 余談 関連商品としてはラジオドラマを収録したCD(全2巻)の他、バンダイよりプラモデルでの玩具展開も行われていた。コロコロコミックにおいても全2話の漫画版が存在する。 アクセラは本作発売から3年後の2000年に倒産しており、本作リメイクやシリーズ最新作の発売は勿論、ゲームアーカイブス配信すら絶望的。遊ぶには本作の現物を探すしかないのが悔やまれる。 一応の続編として雷弩機兵ガイブレイブIIが発売されている。詳細は該当作品の頁にて。
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ロイヤルブラッド 【ろいやるぶらっど】 ジャンル SLG 対応機種 ファミリーコンピュータ メディア 4MbitROMカートリッジ 発売・開発元 コーエー 発売日 1991年8月29日 定価 10,080円(税抜) プレイ人数 1~2人 判定 良作 ポイント 家庭用ユーザー向けに単純なシステムを採用したSLG 概要 ストーリー システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 その後の展開 概要 コーエーおなじみの歴史…ではなく架空の世界をモチーフにした国取りSLG。 舞台はケルト神話時代がモチーフで、魔術師やモンスターなどが混在する世界。 コーエーには珍しくファミコン版が初出であり、後にPCやメガドライブ、スーパーファミコンに移植された。 「コーエー25周年記念パックVol.2」にPC-98版が収録されているほか、「コーエー定番シリーズ」で単品でも発売されている。 ストーリー はるか遠い昔――。イシュメリアは、自然に恵まれ、妖精と人間とモンスターが平和に暮らす島国でした。 しかし、あるとき、邪悪な魔法使いザミエルが現れ、ドラゴンを魔術で呼び寄せると、その炎ですべてを焼き尽くそうとしたのです。 イシュメリアの神は、水竜パスハをつかわしました。パスハは、6人の魔術師たちと力をあわせてついにザミエルを倒します。 そして、ドラゴンを6人の魔術師とともに王の冠に封印しました。 7つの宝石がちりばめられたこの王冠は、ロイヤルブラッドと呼ばれ、王の命でのみ、その力を発揮しました。 歴代の王はその力によってイシュメリアを正しく統治したのです。平和は、しかし、永遠には続きません。 時の王エセルレッドが、王冠の巨大な力を使って、家臣の財産や美しい娘たちを奪い、叛逆者を処刑し、欲望のおもむくまま悪逆のかぎりを尽くしたのです。 王冠を放ってはおけぬ――見かねたイシュメリアの神は、父の暴政に心を痛める王女アヴェールのもとを訪れました。 苦しみにあえぐ民の声に美しい王女の胸は張り裂け、枕が涙で濡れぬ夜はありませんでした。 王が留守の明晩、王冠を盗みだして宝石を外しなさい、と神は命じました。 「赤い宝石はそのまま冠ごと持っていなさい。後でわたしが処分してしまうから……」 翌夜、王の寝室に忍び込んだアヴェールは、1つ、2つと王冠の宝石を外していきました。 外れた宝石は窓から飛び出し、闇の中に消えてゆきます。そして最後に赤い宝石だけが残ったとき……。 「何をしている、アヴェール!」振り返ると、そこには父エセルレッドが、恐ろしい顔をして立っていたのです。アヴェールは城の高い塔に閉じこめられてしまいました。 一方、6つの宝石たちは魔術師の姿にかえり、イシュメリア各地の貴族6人を訪れ、ある神託を告げました―― 自分たち宝石魔術師を王冠をひとつにまとめ、この島を制覇する者こそ、新しい王となり、とらわれの王女を救うことができる、と。 こうして6人の貴族が、王冠をめざして立ち上がったのです。 システム 自国の領土には領主を配置して統治させる。領主は「交代」コマンドでいつでも交代可能。 領主を配置せず当主が直轄で治めることもできるが、能力値が約半分として扱われるため、人材不足でもない限り領主を配置したほうが良い(*1)。 能力値は「政治力」「軍事力」「魅力」の3つしかなく非常に単純。女性の領主は魅力が高めで軍事力が低いことが多い(*2)。 年齢が低いと1月になると能力値が上昇する事がある。 各領地では3カ月に一度、ラッキーモンスターやイーヴルモンスターが出ることがある。 民政(輸送と取引除く)を行った回数が多いほど上位のラッキーモンスターが出やすくなり、逆に軍事行動が多いとイーヴルモンスターが出る。 民政(内政)コマンドは「開発」「施し」「輸送」「取引」がある。 「開発」には開墾と防災があり、実行には金10必要。このゲームは災害が起きやすいので防災は重要。 季節の変わり目にはほぼ毎回疫病が発生し(*3)、地方と季節によって地震、水害、大火事、大雪も発生する。さらに1月になると領地の土地パラメーターが6%下がる。 「施し」は民の統治度を上げるコマンドで、戦争が起きた国は統治度が下がる。これが低いと得られる収入が下がる。上げるには領主の魅力が必要。 「輸送」は隣接国だけでなく自国領のどこへでも輸送可能。また、他国に送るだけでなく他国から輸送を受けることもできる。 「取引」は作物の売買を行うコマンドで、ターンを消費しない。物価は「やすい」「ふつう」「たかい」の3種類しかない。 いわゆる米転がしであり、作物の相場はそれぞれ「0.5」「1.0」「2.0」となる。かなり豪快な変動だが、数か月おきにしか変動しない。 軍事コマンドは「戦争」「雇用」「移動」「特別」がある。 「戦争」は隣接国に攻め入るコマンド。兵数差が大きいと相手が戦わずに逃げて行くことがある。 攻撃側・守備側どちらにも本陣があり、敵部隊に侵入されると負け。退却や全滅しても負け。 攻め込んだ側が勝利すると、領主が攻め取った国に移動する。元の国は当主直轄領となる。 退却する場合は隣接地域に引き上げるか、兵士も作物も捨てて本拠地へ逃げ帰るかのどちらかを選べる。 「雇用」はいわゆる徴兵で、兵1につき金2で雇う事ができる。 「移動」は隣接国に兵士と第5部隊を移動させる。物資も移動可能。移動先に別の第5部隊がいる場合は移動できないことがある。 空白地への移動もこれで行う。兵0の移動でも占領が可能。 領主は移動しない。 「特別」は傭兵やモンスターを雇ったり解約するコマンド。地域によって契約できる相手は変わる。辺境でも意外に強い相手と契約できたりもする。 対外コマンドは「同盟」「交渉」「計略」「調達」がある。 「同盟」が行えるのは最大1勢力まで。他家と同盟する場合、元の同盟は破棄される。 「交渉」は他国家臣の引き抜きや降伏勧告を行うコマンド。領主の引き抜きに成功すると、その地方ごと自分の領地になる。魅力が極端に低い領主もいて、わりと成功しやすい。 当主の血縁者は絶対に引き抜けない。所属当主が変わった場合は血縁者フラグが消えて引き抜けるようになる。 引き抜ける条件は交渉を仕掛ける領主の魅力の方が高く、当主の能力の合計値が相手当主より高い事。 王家は他貴族よりも身分が上のため降伏勧告に応じず、同盟も組まない。 「計略」を行うと敵国の領地を荒らすことができる。 「調達」は他国から物資を奪ってくるコマンド。これをやると名声が下がる。よほど貧乏な国でない限り使う事はないだろう。 その他のコマンドとして「情報」「交代」「委任」「探索」がある。 「情報」は国の情報を見るコマンド。他国の第5部隊の情報を見ることはできない。 他のSLGでは忍者を送るなどの手間が必要だったが、本作では遠く離れた敵国であろうといつでも情報を把握することができる。 「交代」は自国の領地の一部を誰が統治するか決めるコマンド。本国でなければ実行不可で、当主自ら本国以外を直接治めると行動終了。 他国を攻め取る度に直轄地が出来、また、直轄地でのコマンドは当主の能力の半分の効果しかない。その為、家臣にも統治させるのが効率的だが、前述のラッキーモンスターによる当主の能力を重点的に上げるのにも使える。 「探索」は他の領地の第5部隊を見るコマンド。やる意味はあまりないが、たまにアイテムを発見して能力値が上がることがある。 相談役が存在。老人(シドー)、中年男性(ライアス)、女性(フィラ)、道化師(アンガス)の4人いて、ゲームスタート時に選ぶ。 自国のコマンド入力時にいつでも相談でき、アドバイスをしてくれる。 当然だが言うとおりにした方が良い結果になるとは限らない。 戦争では動員する兵士を第1部隊~第4部隊に分割する。割り切れなかった分は第1部隊になる。 第1部隊は騎馬兵で移動力が高い。 第2、第4部隊は歩兵で移動力は低いが、「柵」を作ることができる。作れるのは平地のみで、橋や本陣の上には作れない。 本陣を守るのに使ったり、敵の進撃を止めたりできる。ただし柵を飛び越えられるモンスターもいる。 第3部隊は弓兵で、2マス離れた位置から被害を受けることなく攻撃が可能。隣接されると弱い。 敵部隊との間に他の部隊や障害物があっても攻撃が可能。斜め方向には撃てない。 戦争終了後、敗北側の領主が捕らえられることがある。 身代金が支払われると釈放される。支払われない場合は、家臣にする、逃がす、追放(*4)のどれかを選べる。 逃がした場合は元の当主のところには戻らず、他の当主の家臣になるか、行方不明になる。 領土が全てなくなった場合は、敗北側の宝石魔術師が勝利側のものとなり、敗北側の家臣全員の処遇を決める。 他のゲームのように当主が強制斬首されるようなことはなく、捕らえて家臣にできたり、逃げて他国の家臣になったりする。 家臣はともかく宝石魔術師が増えるのは大きい。宝石魔術師が2個以上になったCPU勢力はかなりの強敵となる。 評価点 「第5部隊」の存在。普通のSLGでは兵力が多い方が有利だが、第5部隊は兵力差をひっくり返すほど影響力が大きい。 戦争時は兵力が分割される第1~第4部隊とは別に運用する独立した部隊である。 強力な第5部隊に攻めさせれば、味方兵力にあまり損害を出さずに勝利することも可能になる。 「宝石魔術師(王家の王冠ドラゴンも含む)」は各当主が所持している。強力だが、一度使うと3カ月の休養が必要となる。 これはCPU当主も同じであり、宝石魔術師が使えなくなる3ヶ月間はこちらから攻め込むチャンスである。 「傭兵」と「モンスター」は金で雇うことができる。 傭兵は季節の変わり目に再度契約金を払わされ、払えないと離反してしまう。 モンスターは離反することはないが、勝手に国を荒らすことがある(*5)。身の丈に合ったものを選ぶことが必要。 水竜「パスハ」はラッキーモンスターとして出現することがある。1回しか使えないが、王冠ドラゴンに匹敵する強さを持つ。ただし遠距離攻撃はできない。 既にパスハがいる地域には出ないが、移動させて重複させることは可能。それぞれは兄弟という設定。 『太閤立志伝』に先駆けて、戦争時の部隊に向きの概念を取り入れている。 横や後ろから攻撃すると与えるダメージが大きく、反撃で受けるダメージが少なくてすむ。 攻撃や柵を作ると自動的にその方向を向くが、「その場で向きを変える」という行動はできず、狭い地形に追い込められるとかなり不利。 このため柵コマンドで向きを調整するのは重要な要素である。 前述の相談役の存在。 『信長の野望』シリーズお馴染みの軍師にあたる存在だが、既存の武将が務めるのではなく、常駐している為、どの勢力でもコマンド選びに迷わずにすむ。 SLGに初めて触れるFCユーザーをはじめ、初心者には非常にありがたい。 BGMが秀逸。作曲者は新田真澄(現:伊藤真澄)氏。 ファミコン音源は同時に出せる音が限られるため、ずいぶん苦労したらしい。サウンドウェア版では音源に合わせたアレンジがなされ、彼女の歌声も入っている。 戦略時BGMは当主ごとではなく季節ごとに変わる。季節の変わり目には死神(疫病)とか災害とか色々と起こるので特に印象に残る。 戦争時BGMは季節や第5部隊によって変わり、全6種類もある。ドラゴンは敵側だけあって恐ろしげな曲、パスハは癒し系。 賛否両論点 全体的な難易度が低めで、難易度設定もない。 ファミコンユーザーはPCユーザーよりも年齢層が低いため、低めの難易度にしたのは当然ともいえる。 しかしPC版もほとんど仕様を変えずに移植されたため、コアなPCユーザーからは「簡単すぎる」という評価を受けてしまった。 難易度設定がない代わりに勢力による難易度分けがなされている。 戦争マップが従来のHEXからスクエアになっており、また、平地・橋以外の地形が飛行可能第5部隊以外進入不可になっている。 マップがスクエアなのはFCユーザーへの配慮から妥当であるとして、戦闘の有利不利が相手の向きに依存しており、これもFCユーザーへの配慮の一つと言える。 その一方でコアなPCユーザーからは「HEXの方が良かった」という意見も。 パスハは水竜のくせに水地形への移動ができない。 2人プレイが可能。 どのシナリオも主役級の勢力としてブランシェ家とライル家の2つが存在する。両家を選んで協力し合うことで、強大な王家と渡り合うことが容易になる。 同盟もできるが両勢力だけが残っても全土統一にならず、相手の降伏勧告をあえて受け入れることもできないため、最終的には全面対決せざるを得なくなってしまう。 仕様の隙を突くと簡単になるテクニックがある。 一度使った宝石魔術師が3ヶ月間再使用できない事を利用し、わずかな兵力で攻め込んで魔術師を出させてすぐに退却し、再び攻め込むと敵は魔術師を使えない。 ファミコン版では兵士1で攻め込んでも敵が宝石魔術師を使ってくれた。さすがに簡単すぎたのか、別ハード版では修正が入っている。 敵領地に隣接する地方に兵士が多く居る(自分の領地ではなく第三勢力でも可)と、その敵領地からは攻めて来ない。 この仕様により隣接地の兵士がゼロでも攻められないようにできる。逆に言うと、敵の兵力が多ければ無意味で、それを分散させるのも難しい。 特定のシナリオではスタート直後に魅力の低い人物が領主として配置されており、最初の月でいきなり寝返らせることが可能。 弱小当主を選んだ場合はこのテクニックを使うとだいぶ楽になる。 戦争時に柵を作ったり壊したりできる確率は兵士数に依存し、100以上なら確実に成功する。 各部隊の兵士数が100となる兵士数400を目途に徴兵・出兵すると効率的。 CPU勢力と同盟を結ぶと攻めて来なくなるが、同盟勢力以外に攻め込める国がなくなった途端に同盟破棄してくる。 どれほど戦力差がついていようともお構いなし。こちらから破棄する手間が省けるというものだが、逆にどこへも攻め込めない状態のまま押さえつけておくことができない。 自然災害が起こる地域は決まっている(説明書に記載)。起きない地域もあり、そこは防災度を上げる必要がない。 問題点 世界や人物関係に非常に細かい設定があるのだが、その描写がゲーム中でほとんどなされない。 特に当主との血縁関係は引き抜きに応じるか応じないかの重要な要素なのだが、名前を見ただけでは血縁者かどうかの判別ができない。個人のステータス画面を見れば確認する事はできるが面倒。 移植版ではゲームスタート時などに会話が入り、ある程度人物関係や世界の情勢がわかるようになった。 より深く世界観に入り込みたいなら、別売りのハンドブックを購入する必要がある。俗に言うコーエーの「完全版商法」の走りとも言えるか。 ハンドブックはゲームの出荷本数に比べて非常に少なく入手困難で、現在でもプレミアがついている。 エンディングが1種類しかない。 せっかくシナリオ4つ、選べる当主10種類という豪華さなのに、どれでプレイしても全て同じである。 そもそも王家に捕らわれている王女を助け出すのが目的なのに、なぜか王家を滅ぼしてもクリアにならない。ゲーム的な都合と言ってしまえばそれまでだが…。 王家を滅ぼした後、捕らわれの王女を放置したまま他の勢力を滅ぼしに行き、全土統一してようやく王女を助け出しに行く。 宝石を持たない勢力だけを残して他を滅亡させるとロイヤルブラッドが完成するが、それでもやはりクリアにならず全土統一までやらなければならない。 総評 本作発売までにコーエーの国取りSLGとしては『三國志』『蒼き狼と白き牝鹿』『信長の野望』『ランペルール』が出ていたが、どれもPC版の複雑なシステムと高い難易度をほぼそのまま引き継いでおり、ファミコンユーザーには敷居の高いゲームであった。 どちらかというとファミコンでは『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といったファンタジー世界が有名であり、それに慣れていたファミコンユーザーに本作はすんなり受け入れられた。 単純で理解しやすいシステムも相まって、ファミコンユーザーに国盗りSLGというジャンルを浸透させた良作なのは間違いないだろう。 その後の展開 この作品は「イマジネーションゲーム」というシリーズの1作目として発売された。 純粋なSLGでは2作目に「ケルトの聖戦」、3作目に「ロイヤルブラッドII ~ディナール王国年代記~」が出ている。 どちらも世界観が似ているだけでストーリーのつながりは一切なく、システムも全然違うので正式な続編と言えるかどうかは微妙。 何よりどちらもPC版しか出ていない(しかも現行PCでの動作は保障されていない)ためマイナーゲームの域を出ず、シリーズのSLG作品は今のところこの3作しか出ていない。 RPGとしては『Zill O ll』や『オプーナ』といった作品が出てある意味で有名になったシリーズなのだが…。
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仮面ライダーバトル ガンバライド カードバトル大戦 【かめんらいだーばとる がんばらいど かーどばとるたいせん】 ジャンル カードバトルアドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 ナツメ 発売日 2010年7月29日 定価 5,040円 プレイ人数 1人(通信プレイ時2人) レーティング CERO A (全年齢対象) 判定 ゲームバランスが不安定 ポイント 第9弾までの『ガンバライド』をDSで手軽に遊べる700枚以上のカードを収録(*1)DSながら再現度はかなり高い全体的にテンポが悪く粗が多いストーリーモード『コンプリートスキャン』及び『シルバーライセンス』が強すぎる 仮面ライダーゲームリンク データカードダスシリーズリンク 概要 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 ACで稼働していたデータカードダス『仮面ライダーバトル ガンバライド』を携帯機であるニンテンドーDSに移植した作品で、第9弾までの『ガンバライド』が遊べる。但し、バトルシステムは筐体のバージョンに関わらず全て第9弾のものとなっている。また、本作オリジナルのモードとして、『ストーリーモード』が遊べるようになっている。 本稿では、DS版の移植度と独自要素に対する評価点・賛否両論点・問題点を挙げている。本作のゲームシステムの評価点・問題点はAC版『仮面ライダーバトル ガンバライド』の記事を参照すること。 評価点 移植度の高さ AC版からはさすがに劣化しているが、携帯機であるDSの性能を考えると3Dモデルの完成度は高い。 必殺技のモーションもAC版から手を抜くことなくほぼ完全に再現されているため、クオリティが高い。 総合してAC版がゲームキューブレベルのクオリティならば、本作はニンテンドウ64より若干綺麗なレベルには達しているだろう。 ストーリーモードの評価点 ストーリーモードでは、悪のギアを使って仮面ライダーを実体化させ、様々な悪事を働く人を正義のギアを持つ主人公(男女選択可能)が止めていく…というのが基本的な流れ。ストーリーボスとの対決は『ガンバライド』のルールに則って行われる。 ちなみに本作にはレベルがあるが、それによる成長はこのギアを使ったバトルにのみ反映され、通常のガンバライドには影響しない。 ストーリーの前半から中盤までは「正義vs悪」の対決がメインだが、後半からは「正義vs正義」の戦いにシフトしていく。子供向けのストーリーではあるが、『正義』のありかたについて考えさせられるストーリーであるため、大人でも十分に楽しめる。また、『悪』側にも事件を起こすだけの理由がある。 例えば、第1弾のストーリーで起こった事件の犯人、カレンはカンニングの為にギアを使っていたという、一見くだらない理由で使っているようで、実は成績の件で両親が喧嘩していたのを気にしていたこともカンニングしていた理由の一つと判明する。 更に、第7弾と第9弾のストーリーでは意外な人物が敵となって立ちふさがる。主人公と敵対する理由として、ボスが悪を許せないあまりに暴走しているのが原因なのだが、ボスが異常なまでに『正義』に拘る理由が重い。 登場する人物も個性豊か。例えば、超常現象の解明に奮闘するが何かと抜けているところがある土門超常現象研究所「DOOL」の所長「ヒロト」、主人公にガンバライドのことを教える相棒ポジションの中学生「ケンジ」、主人公にギアを与えた謎の人物「セラフ」など、様々なキャラがストーリーに関わってくる。 また、ガンバライドのスタッフ「ハイパードクトルO」がストーリー上で計4回、大会の司会者としてゲーム内に登場している。更に、特定のパスワードを入力することで彼の特製デッキと戦える。特製デッキはかなり手強いが、ガンバライドの初心者がデッキを組む際の参考にもなる。 賛否両論点 レアカードがストーリー上で簡単に手に入る 第4弾及び第9弾を除くストーリーモードのボスは、レジェンドレアかスーパーレアのカードが含まれているデッキを使ってくる。 ボスに勝つことでそのボスが使っていたカードが手に入るのだが、この仕様を「レアカードなのに簡単に手に入るのは冷める」と嫌う意見もあれば「レアカードは低確率でしか入手できないのでいくらカードを買っても入手できないよりはマシ」と好評な意見もある為、賛否が分かれる。 また、ドクトルの特製デッキに勝利した際にもカードが貰える。特製デッキは全てレジェンドレアかスーパーレアのカードで構成されているため、かなり手強いが勝利すれば確実にレアカードが入手できる。 なお、ボスとドクトルの特製デッキに全て勝利しても、全てのレジェンドレアとスーパーレアのカードが入手できるわけではない。そのため、入手できていないレアカードを入手しようとすると、かなりのGP(本作のお金の通貨)を消費するハメになる。 第9弾のボスを除き、ストーリーのボスがあまり強くない。 序盤のボスは能力にマイナス補正がかかっている為、こちらが低レアのカードしか持っていなくても勝てるようになっている。中盤からはボスのチームの能力値が高くなっていくが、序盤のボスから手に入れた高レアカードを使えば簡単に勝てる。ただし、スロットの運によってはあっさり負けてしまうこともある。 しかし、第9弾のボスはこれまでのボスと比べても能力値が異常に高く、難易度の調整がやや雑。詳しくは問題点で後述する。 問題点 仮面ライダーディケイド コンプリートフォームの固有システム『コンプリートスキャン』が強すぎる 本作のバトルシステムを第9弾にしたことによる最大の問題点。コンプリートスキャンは10秒間にスキャンしたカードの数に応じてアタックポイントを除く全ての能力を上昇できるシステム。第9弾まではスキャンできるカード枚数32枚までだったが、第10弾で大幅に弱体化され、スキャンの上限が12枚になり、全能力が150までしか上昇しなくなった。 このシステムなのだが、本作では第9弾のバトルシステムを採用している為、弱体化前のコンプリートスキャンが使えてしまう。 AC版では実物のカードをスキャンした数に応じて能力が強化されるシステムなのだが、DS版では下画面を上下にスライドし続けることでカードをスキャンするようにアレンジがなされている。その為、DS版の操作に慣れないうちは約20枚のスキャンが限界だが、それでも全能力が250以上は上昇するため、お手軽に能力を上昇できてしまう。慣れてしまえば上限の32枚までほぼ確実にスキャンでき、全能力を400も上昇できるため、素でコウゲキ・ボウギョが両方とも1000以上になることも珍しくない(*2)。 デメリットは使用したカードのレアリティに関わらず『ベルトランプルーレット』というバトル前に能力を上昇させるシステムで能力上昇の恩恵が強制的に最低になる(*3)ことと、高速で上下にスライドしたことによって、腕が疲れてしまうことぐらい。 もっとも、AC版のページに書いてある通り現行ライダーには毎回強力なシステムが搭載されていたので、コンプリートスキャンが弱体化される第10弾以降だったとしても今度は別の強力なシステムが登場しているため、AC版の移植としては仕方の無い部分ではある。 プロモーションカードが未収録 9弾時点で80枚超存在していたイベント、雑誌付録、フィッシュソーセージなどで入手することができたプロモカードが本作では未収録。 コンビニエンスストアのチェーン店「セブンイレブン」で開催されたキャンペーン「仮面ライダースタンプラリー」で貰えたキバ エンペラーフォーム (通称セブンエンペラー) (*4)など、有用なカードが多く流されてしまい、戦略的にもコレクション要素としても削がれてしまった。 カードイラスト右下の企業ロゴ(セブンイレブンや丸太食品)が原因とされており、比較として同じく任天堂携帯機に収録されたデータカードダスシリーズで、「ドラゴンボールヒーローズ アルティメットミッションX」はプロモカードは未収録(*5)、「ガンダムトライエイジSP」は企業ロゴを消してハッピーセットやユニクロとのコラボカードを収録している。 本作オリジナルのSPカード『シルバーライセンス』が強すぎる シルバーライセンスの効果は、「2ラウンドの間、スロットの回転をゆっくりにする」というもの。これによってゲキレツアイコンの目押しが大幅に簡単になる。 ラウンド2からこのカードを使えば、ラウンド2と3でゲキレツアタックを確実に2連続で出せる。しかもCPUは目押しをまともにせずに適当にスロットを止めるせいでゲキレツアイコンをほぼ確実に外す為、CPUをいとも簡単にハメることができてしまう(AC版と異なりDS版は1ゲームで2回以上ゲキレツアタックを揃えることが可能。また当時はゲキレツライダーラッシュ(001弾で追加された両者ともにゲキレツアタックを出した際に連打勝負になるシステム)がなかったためゲキレツアタックに対抗する手段がほぼない)。 AC版ガンバライドの雰囲気を味わいたいなら、このカードはなるべく使わない方がいい。 なお、このSPカードを手に入れる方法はパスワードを入力することなのだが、パスワードを手に入れる方法が「当時稼働していたAC版ガンバライド第11弾の『ひとりであそぶ』モードを難易度ふつうでクリアする」だけ(*6)。AC版ガンバライドを遊んでいるなら簡単にクリアできてしまう。 2023年現在、ガンバライドは稼働終了しているが、検索すれば攻略サイト等でパスワードが全て見ることが出来るため、入手できなくなったわけではない。 ちなみに両者遅くなるので、もし対戦で使ったりすると揃えた者勝ちになる。 ストーリーモードの問題点 第1弾~第6弾までの物語では仮面ライダーの特徴が現れた超常現象の事件が起こるのだが、第7弾以降は事件に仮面ライダーの特徴があまり現れなくなる。第6弾までの事件は仮面ライダーの設定が活かされていただけに残念な点である。 一部キャラクターの設定があまり掘り下げられない。 例えば、主人公は序盤で「所長には昔、危ないところを助けてもらった」と言っているが、ストーリー中で主人公の過去が描かれることはない。 第5弾のボスは、世界中の人々のためにギアの力を使おうとしているが、具体的にギアの力で世界に何をしようとしているのかが分からないまま。 また、セラフの正体とセラフの住んでいる世界についても描写不足。セラフはパラレルワールドの住人だということしかわからず、セラフの住むパラレルワールドがどういう世界になっているのかも一切分からない。 ストーリーの終わり方がやや唐突。もし第11弾まで収録されていれば、主人公やセラフなどの人物に詳細な描写がされた可能性があったのだが…。 文章が最後まで表示されるまでAボタンの会話送りが出来ない。周回プレイのときに地味にストレスがたまる仕様である。 マップを移動する際の演出がやや長く、目的の場所まで行くのに若干時間がかかる。 行くべきところが無くなったときに、ナレーションが毎回「どうやら今週はもう行く必要のある場所はないようだ。DOLLに戻って"しゅうをすすめる"を選べば時間を進めることが出来るぞ!」と表示される。 会話送りの仕様のせいで、毎回会話送りに時間がかかるだけの邪魔なナレーションとなっている。しかもこのナレーションをオフにすることは出来ない。 ストーリー中に自由行動できる週があるが、そもそも自由行動の週がなくてもガンバライドやGP稼ぎはいつでも出来るので意味がない。 実際のガンバライド(おおよそ2ヶ月ごとに新弾)に合わせて8週で1弾分話が進むようになっているため、何も無い週がでてしまう。 本作オリジナルのカードとして、ストーリーの終盤に「仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリーム」と「仮面ライダーアクセルトライアル」のカードを貰えるのだが、性能がノーマル・レア並と最強フォームのカードとは思えないほど弱い。 ストーリー中のボスからスーパーレア・レジェンドレアカードを何枚も入手してきている中、今更こんなに弱いカードを渡されたところで使い道は皆無。しかも必殺技は汎用技である。終盤になって渡されるカードならレジェンドレア級の性能でも良かったはずなのだが…。 第9弾のボス戦で、ディケイドコンプリートフォームが実体化したときの立ち絵にミスがある。本来ならベルトにケータッチが装着されているはずが、ケータッチではなく通常のディケイドライバーを装着したままになっている。 ストーリーモードの第9弾のボスが強すぎる。 なんと、ヒッサツの数値が約3700とEXステージレベルの高さである。それに加え、ゲキレツアタックを出す確率も高く、必殺技でとどめを刺しても不自然なほど高確率でライダーガッツが発動して復活してくる。 そのため、コウゲキをチーム相性やライダースキルなどで極限まで上昇させ、ラウンド3までに通常攻撃で倒せるように特化させたデッキか(*7)、相手がライダーガッツで復活する前提で、ラウンド4で必殺技を食らわないように確実にセンコウを取って通常攻撃で倒せるようにAP特化のデッキを組むことが半ば必須と化している。 しかも、第9弾のボスのみガンバライドの大会で行われるボス戦のため、負けると1回戦からやり直しになる。しかも1回戦・2回戦の相手もなかなかに手強い上に、大会前の会話もかなり長いため、上述の会話送りの仕様もあってリトライまで相当時間がかかってしまう。 2周目の特典がほとんどない。ガンバライドのレベル及びカードバインダーの引継ぎが出来ることと、ストーリークリア特典のSPカード『11ライダーキック』が使えるようになるだけで、追加ストーリーなどは一切ない。 やや面倒なGP稼ぎ 本作では筐体でガンバライドを遊ぶために1回100GPが必要なのだが(*8)、溜めるための手段がやや面倒。 GPを溜める手段はいくつかあり、「1日1回のお小遣いで500GPをもらう」「怪人バグを倒す」「ライダーのエネルギーをスキャンする」「ストーリーのボスを倒す」「パスワードを入力する」といった手段がある。 このうち、「パスワードを入力する」方法は、大量のGPが貰えるが、1つのデータにつき1回限りのパスワードのため、2回目以降は使えない。 ストーリーのボスを倒すことでも入手できるが、ストーリーが進んでしまうため、実質的にGPを稼ぐ方法は2つしかない。 マップ上に黄色い「?」のマークがある場所に行くとバグを発見するか、ライダーエネルギーのスキャンが行える。 このうち、バグと遭遇した場合、ガンバライドのルールに則って対決するが、やや時間がかかってしまうため、あまり効率的ではない。バグを発見した際に逃げることもできるが、まれに失敗して強制的にバトルをすることになる場合がある。 ライダースキャンは撮影時の評価に応じて最大で500GPが貰えるが、バグとの対戦ほど時間がかからない代わりにライダーエネルギーの頭と胴体できるだけ大きく、はっきり写っているときに撮影しないと低評価となり、貰えるGPの量が下がってしまう。また、ほとんどのライダーエネルギーは拡大しないと映らず、また歩いていて撮影しづらいライダーエネルギーもいるため、慣れるまでは撮影が難しい。 幸い、ライダーエネルギーが現れる場所は決まっているため、出現場所を覚えれば楽に撮影可能。 なお、「?」の場所に行った際、バグが出現するかライダーエネルギーのスキャンが行えるかは完全にランダムである。 カード購入無しのフリープレイモードでもあればよかったのだが。 カードバインダーの問題点 カードの詳細を見る際に、画面を切り替えないとステータスやどのようなライダースキルを所持しているかが分からない。 上画面にカードの絵とステータスが表示されてはいるが、DSの解像度だと文字と数値が潰れている為、見えづらい。ゾクセイだけははっきり見えるのだが…。 よく使うカードなどをお気に入りに登録することができるが、登録できるのはヒーローカードとスペシャルカードがそれぞれ8枚ずつとかなり少ない。 カードバインダーを表示する際、1ページにつきカードが4枚しか表示されない上にページ送りする速度が微妙に遅い。そのため、お気に入り登録していないカードを選ぶ際にかなりイライラすることになってしまう。 その他の問題点 DS用に無理矢理音声データを圧縮しているためか、仮面ライダーのボイスや劇中歌の音質がかなり悪く、声が聞き取りづらい。特に、本作は仮面ライダーキバが本人ボイスである貴重な作品であるため、惜しい点である。 EXステージ突入時のナレーションのボイス及びライダーのボイスがなく、寂しい印象を受ける。 バグの種類を増やす手段がパスワードしかない。せめてパスワードではなく2周目要素として追加したほうが良かったのではないだろうか。 スタッフロールの声優キャストがキバ以降の本人ボイスのライダーのみ。クライマックスヒーローズやライダージェネレーションと言った他のライダーゲームでは青二プロ所属の代役キャストが書かれていたのだが。 トイ付属カードとジャンボカードダスのカードは、パスワードで出現する青バグを倒さないと絶対に入手できない。(*9) これに気づかないとカードのコンプリートが不可能である。 一応、青バグを出現させるパスワードは発売当時稼働していたAC版ガンバライド第11弾のデモ画面で表示されていたため、他のバグの種類を増やすパスワードが関連書籍に記載されていたのに比べれば入手はしやすかったと思われる。 一部の3Dモデルにミスがある。例えば、仮面ライダーW ファングジョ-カーのマキシマムスロットにジョーカーメモリが挿しっぱなしであったり、仮面ライダーW ヒートメタル、及びルナトリガーの劇中必殺技を発動した際、ベルトの一部分が無くなっているミスがある。 オプションに該当する機能が存在しない。そのため、BGM/SEの音量調整などが一切出来ない。 9弾ベースのはずなのに、第7弾時点で演出技に挿し変わった「ディケイドブラスト」が汎用技のまま。これはライドは常に2弾以降をROM内データに入れてた為開発時期の都合かもしれない。ちなみに、同じく第7弾ではアギトグランドフォームの「ライダーキック」とアギトトリニティフォームの「ライダーシュート」に画面揺れが追加されたのだが、こちらもDS版ではない。 アクセルに声が付いてたり、CJXやアクセルトライアルを実装してたり10弾以降の要素も入れているかと思ったら、ライジングアルティメット(レッドアイ)が無言のまま(*10)など、AC版準拠の時系列が前後してしまっている。 各所に目立つ設定ミス 音声ミス関連ではライダーガッツ時のBGMが流れない。Wのガッツ時に翔太郎の声が入ってないなど。 オートバジンやキャッスルドランをはじめとしたサポートアタックではライドパワーが溜まらなくなっているなど。 しかしこれに関してはゲームバランスを保てているとの意見もある。(*11) 総評 移植度こそ高いが、ストーリーモードのテンポの悪さなど、様々な粗が目立つ作品である。特に、弱体化前の「コンプリートスキャン」とゲームオリジナルのSPカード「シルバーライセンス」がゲームバランスを崩壊させてしまっている。しかし、ガンバライドが稼働終了した2024年現在では、ガンバライドが遊べるのは本作のみであるため、かなり貴重なゲームと言えるだろう。AC版ガンバライドに思い入れがあるという人にはオススメできるゲームである。 余談 2024年現在、「ガンバライド」及び「ガンバライジング」の後継作として「仮面ライダーバトル ガンバレジェンズ」が稼働しているが、ガンバライドのシステムで遊びたいと思っているユーザーも少なくない。 特にオーズ弾(001弾~006弾)または3vs3のフォーゼ弾(01弾~06弾)のバトルシステムで遊びたいユーザーが多数を占めている。10年以上も前のデータカードダスが移植される可能性は絶望的に低いが…。 開発スタッフであるハイパードクトルOはかつて本作の開発を担当したナツメに在籍していた過去がある。 当社が開発を任せられたのも、その時の縁があってと思われる。(*12)(*13)
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MAJORDREAM メジャーDS ドリームベースボール 【めじゃーどりーむ めじゃーでぃーえす どりーむべーすぼーる】 ジャンル スポーツ 対応機種 ニンテンドーDS メディア 256MbitDSカード 発売元 タカラトミー 開発元 アメディオ 発売日 2008年7月31日 定価 5,040円(税5%込) プレイ人数 1人 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 クソゲー ポイント 2008年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点 薄いボリュームショボいミニゲーム野球と言うより「野球盤」メジャー三部作の中では一番マシな出来 クソゲーオブザイヤー関連作品一覧 少年サンデーシリーズ 概要 ゲーム進行 問題点 評価点 総評 その後の展開 概要 『MAJORDREAM メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』に続く、漫画「MAJOR」のアニメ化作品「メジャー」原作ゲームの第2弾。 原作の聖秀学院高校編~マイナーリーグ編までを再現している。 原作漫画は、連載16年、累計発行部数5400万部以上といった数値にも表れているように非常に高い人気を誇っており、絵もストーリーも非常に良い作品であった。 ゲーム進行 主にストーリーモードとただ試合するモードの2つがある。 友達との通信対戦も可能。 他に、任意のストーリーをリプレイするモードも搭載している。 ストーリーモードはイベントパートとバトルパートを交互に繰り返していく。 内容は原作のストーリーを踏襲している。なお、章によってはバトルパートがない章もある。 イベントパートにはボイスはない。DSの上画面にはセリフとアニメの切り抜きや立ち絵が表示され、下画面には各種操作ボタンが表示される。 バトルモードは「ホームランを打て」「三振をうばえ」などのミッションをクリアするという方式。1試合丸々行うわけではない。 連続バトルが少数あり、連続バトルの2つ目でゲームオーバーになると、1つ目からやり直しになる。 試合のシステム ピッチングは球種やコースを選択した後、 ボールを上から下にある的の中心に移動させる という流れ。 移動させるスピードによってボールのスピードが変わり、的に正しくボールを置けているかどうかでコントロールの制度が変わる。移動コースを大きく外すと制御不能となる。 球種によって移動コースが異なり、ストレートの場合直線であるが、カーブだと斜め上から曲線を描くといったように様々。 ジャイロボールを投げるときは、球種やコースを選択した後に、タッチペンでぐるぐる渦を描くという操作が必要になる。 試合中左上に丸いアイコンがあり、タッチして使うことで高速球を投げることが出来る。ただし、一試合三回しか使えない。 バッティングはヒッティングかバントかを選択して、ボールをタッチしてボールを打つという流れ。 ヒッティング可能位置にボールが来ると投球ゾーンを示す枠が白く光る。 バントは当てるだけで成功する。 守備は全て自動で行われる。 ミニゲームも存在。 ストーリーを進めると遊べるようになる。ミニゲームをクリアするとキャラクターに装備させることで能力値が上昇する「スキル」を獲得できる。 ミニゲームは、走りながら障害物をよける「グラウンドつくり」、飛んでくる打球を掴む「じごくのノック」、ピッチングマシーンから放たれる打球を打つ「バッティングセンター」、豪速球を投げて割れた板の枚数を競う「パワーピッチング」の4種類。 「グラウンドつくり」「じごくのノック」は複数の難易度が設定されている。 問題点 システム面 野球の要素を簡略化しすぎて野球盤状態。 攻撃時は打者、守備時は投手しか操作できない。 牽制、盗塁、タッチアップなど比較的シンプルな戦術も全く存在しない。試合中のポーズでも選手交代はできない。 「内野ゴロ」も存在せず、打球のバリエーションが非常に少ない。そもそも、打球がどこに飛んだかよく分からない。 投球前にスイングするとポーズが固まって、もうバットを振れなくなる。 なぜかストライクゾーンが縦に細長い。 どう見てもボールにしか見えない球でもストライクの判定になったりする。 独創的すぎるピッチングのシステム。 ジャイロボールを投げようとすると1球20秒はかかるなど、テンポが非常に悪い。 ボール球を狙って投げることはできない。 的からあえて外して投げた場合、コントロールが制御不能になるだけなので、ボールになったりストライクになったりデッドボールになったりもする。 どんなにがんばってもストレートが135キロ出ない。原作だと101マイル/h(161.6km/h)出てたのに。同時期に人気だった、他の野球漫画と間違えているんじゃないだろうか。 グラフィックが酷い。 キャラゲーのはずなのに、試合中キャラの区別が全く付かない。 打者から見たら、ピッチャーの背後にはセカンド・ショート・セカンドベース・(場合によってはセカンドランナー)・センターが居るはずなのに一切描かれておらず、ピッチャーしか居ない状態。 フォークが横にぶれて見えるなど、奥行きの表現がうまくできていない。 ストーリーモードについて 再現度の低いストーリー。 色々なところを端折っているため、いつのまにか試合が終わる、急に新たな登場人物が大量出現するなど、原作を読んでいない人からすれば、何が何だかわからないストーリーが展開される。 そのためボリュームも薄く、(ストーリー部分を飛ばせば)プレイ時間1時間30分程度でクリアできてしまう。 ミニゲームについて 全体的に手抜きが目立つ。 「じごくのノック」では打者が表示されずボールが突然現れる。 「グラウンドつくり」では10秒程度障害物が出ないこともあるなど難易度調整が不十分。 ミニゲームとなんの関係があるのか分からないスキルの獲得。 砂運び障害物避けゲーでなぜかミートのスキルが獲得できたり、バッティングゲームでなんとカーブのスキルが獲得できてしまう。なんだそりゃ。 スキルは40種類以上あるにもかかわらず、一人につき3つしか装備できず不便。 その他の問題点 試合中、わずかなタイミングでしかポーズができない。 ゲームオーバー時のセリフがどのキャラクターであっても 「くそ!」 の二文字だけ。 「じん帯断絶」など誤字も散見される。 評価点 クソゲーの例に漏れずBGMは良質。 ただし多くが前作の使い回しである。 曲数もあまり多いとは言えず、すぐに飽きが来る。 バグがほとんどない。 商品としては当たり前ではあるが… ロード時間がほとんどない。 起動も1秒かからない。 総評 野球ゲー・キャラゲーどちらの面から見ても非常に質が低く、随所に作りこみの甘さが見られるクソゲーである。 しかし、メジャー三部作の中では「1試合に2時間かかる」「そもそもゲームとして破錠している」といった苦痛を与えてくる要素が少ないため、クソゲーでこそあれ一番マシな出来とされる。 その後の展開 同年12月11日、『メジャー』三部作の抑え『MAJORDREAM メジャーWii パーフェクトクローザー』がWiiで発売されたが…
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第四章第5話「決戦」 ついにカオスロードの城に侵入し、戦いが始まる。そこに七大魔王が立ちふさがり、味方の援護を受けながら、最上階を目指した。 ベルゼブモン「カオスフレア!」 アシュラオーガモン「鬼神王龍紋波!」 アサルトレオモン「獣神拳!」 セントガルゴモン「ジャイアントバズーカ!」 メタルガルルモン「グレイクロスフリーザー!」 ルーチェモン「小賢しい!デッドオアアライブ!」 リヴァイアモン「ロストルム!」 ヤマト「なんとしてもここを守らなくては・・・」 ・ ・ 一方、太一たちは・・・ 太一「なんだ、この数は・・・?」 そこにはむすのデスモンが蠢いていた。 大輔「こいつらを倒してたら間に合わない!」 啓人「皆、下がって!ここは僕が何とかする!ギルモン!」 ギルモン「うん!」 啓人「マトリクスエボリューション!デュークモンクロニクルモード!」 光り輝く聖騎士が現れた。 太一「これが、新しい力か・・・」 デスモンが一気にデスアローを撃ちまくる。 デュークモンクロニクルモード「クロニクルバリア!」 手に埋め込まれた宝玉が輝いて全員を包み、矢を防ぐ。 デュークモンクロニクルモード「ツインデュランダル!」 デュークモンの持つ剣、「クリムゾンブルトガング」(名前変更)が輝くと巨大なゲートが開き、デスモンをすべて飲み込んだ。 拓也「す、すごい・・・」 コータ「これが、時の力・・・」 デュークモンは退化する。 啓人「時の狭間に封じ込めたんだ。もう二度と出ることはできない。」 デスモンを倒すと光の柱が突如差し込むと、タカトたちを飲み込み、上階へと導いた。 そこには混沌の騎士たちが待っていた。 カオスアルファモン「良くぞ来た、選ばれし子供たちよ。」 カオススサノオモン「だがここが貴様らの墓場だ。」 カオスデュークモン「やはり死んでいなかったな。今度こそ決着をつけてやる。 ここでも、決戦が始まろうとしていた。 続く
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AXシリーズリンク 発売年 タイトル 概要 判定 1982年 AX-1 アラビアン・ラプソディ パズルアクションの『アラビアン・ラプソディ』『プロックくずし』『サイモン』ゲーム『トロン』そっくりな『ハイスピード・バリケード』の4ゲームを収録。 1982年2月 AX-2 宇宙輸送船ノストロモ エイリアンをテーマにしたACT『宇宙輸送船ノストロモ』『スティールエイリアン』『デュアルエイリアン』『イン・ザ・ウッズ』の4ゲームを収録。 なし 1982年3月 AX-3 マイクロオセロ スロットとポーカーの融合『スロット・ポーカー』『マイクロオセロ』『インターファイト』インベーダー風STG『コズミックレボ』の4ゲームを収録。 1982年 AX-4 ブラックホール 平安京エイリアン風ACT『ブラックホール』『カーレース』『アメリカンフットボール』古典ゲーム『シャット・ザ・ボックス』の4ゲームを収録。 1982年 AX-5 オリオン/クエスト 3DSTG『オリオン』と、3D迷路『クエスト』の2ゲームを収録。良作揃いのゲーム集。 なし 1982年8月 AX-6 パワード・ナイト ロボットSTG『パワード・ナイト』『マスター・マインド』『ヘッド・オン』インベーダー風STG『スペース・エネミー』の4ゲームを収録。 なし 1983年4月 AX-7 ポリス ギャング ルナランダー風STG『ギャラクシーファイト』『ポリス&ギャング』『ザ・アストロディアン』スペースウォー風STG『ゴッド・ハリケーン』の4ゲームを収録。 1984年 AX-8 ギャラクシーミッション 重力をテーマにしたACT『ギャラクシーミッション』のみ収録。世界観説明のためのマニュアルが充実していた。 1985年 AX-9 3Dフライトシミュレータ 『3Dフライトシミュレータ』『ブルースカイ』『バウンダーロボ』の3ゲームを収録。 1985年 AX-10 アウトロー 本作だけデモプログラムがない。早撃ちSTG『アウトロー』『セブンバイブル』『ポップハンド』『ドンキーコングJR.』風ACT『りすにんぐ』の4ゲームを収録。価格も上がった。 シリーズ概要 PC-6001を対象とした、ゲーム集シリーズ。全10作。 ゲームの他にデモプログラムも収録されていた。 発売まもないPC-6001のローンチタイトルとなった。 PC-6001本体に『AX』シリーズをオマケに付ける販促キャンペーンがあり、『AX-1』が2万本、『AX-2』が1万本の発注がNECからあった。 当時としてはパッケージに手が込んでいるのも、本シリーズの特徴。 序盤のシリーズはBASIC言語で作製されており、グラフィックもあまり使われていない。 また、プログラムがマニュアルに記載されているため、プログラム教材としての意味合いもあった。 ただし『AX-4』よりゲーム集色が濃くなり、『AX-5』以降では純粋なゲーム集となる。 イラストレーター岩崎政志氏によるパッケージイラストも、見栄えのする出来。 ストーリーが充実しており、ゲーム内容に対しマニュアルのページ数が多かった。 パッケージがブックスタイルなのは、書籍扱いで販売していたため。 そのため書店のマイコン関連の書籍の本棚に置かれているケースもあった。 当時は珍しくなかったが、開発をほとんど個人に発注していた。 東大マイコンクラブから推薦されたメンバーで構成され、開発ルームとして南青山の借家が用意。食費もアスキー持ちで宅配弁当が食べ放題だった。 アスキーがMSXに注力することを決定したことにより『AX-10』でシリーズは終了した。
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エイブ・ア・ゴーゴー 【えいぶ・あ・ごーごー】 ジャンル アクション 対応機種 プレイステーション 発売元 ゲームバンクGT Interactive Software 開発元 Oddworld Inhabitants 発売日 1997年12月11日 定価 5,500円 レーティング CERO C(15歳以上対象)※ゲームアーカイブス版で付与されたレーティングを記載 配信 ゲームアーカイブス 2013年11月13日/600円 判定 スルメゲー ポイント 洋ゲー色全開の死に覚えアクション敵AIを読んで仲間を助ける絶妙な謎解き要素当時としては非常に高精細なグラフィックシビアな要素が多いテレビCMが広告詐欺で知られる 概要 アメリカのOddworld Inhabitantsに開発された海外ゲーム。原題は『Oddworld Abe s Oddysee』。 日本ではソフトバンクの子会社・ゲームバンクによりローカライズされ、ストーリーや演出の一部に修正が加えられている。 ストーリー 惑星オッドワールドを征服したグラッコン族の建てた栄養食品工場ラプチャーファームにて働くマドカン族の主人公エイブ。 無知で楽天家でお人好しの彼は自分の扱いに特に不満をもっていなかった。 そんなある日、一週間の休暇も開け元気に工場を掃除する彼は、偶然重役であるグラッコン達の会議を聞いてしまう。なんと作られてる食品には自分たちの元気エキスが使われており、今後は生産量向上のため人命無視で多くのエキスを吸い取るというのだ。 身の危険を感じたエイブは仲間たちと共に逃げることを決意したのであった。 特徴 プレイヤーは主人公「エイブ」を操り、「仲間」を助け、工場を脱出するのが目的。『プリンス オブ ペルシャ』のように、箱庭の中で段差を乗り越えトラップを乗り越えていくゲームとなっている。 マップを行き来し、仲間に指示を与えながら助け出す要素は、後の『嘘つき姫と盲目王子』にも近い。 ゲームとしては難易度はかなり高く、とても工場や遺跡とは思えない地形とトラップまみれな場所を右往左往することになる。残機の概念はなく所謂「死んで覚えろ」なゲームである。 エイブはゲームの主人公としては貧弱な部類に入り、ほぼ全てのダメージ=即死となっている。銃やパチンコで撃たれて死に、高い場所から落ちて死に、栄養食品の材料(猛獣)に一撃で殺される。 死亡パターンの一つには肉片となって飛び散るといったグロ描写もある。 そして初期状態では攻撃能力が一切無い。追加される攻撃手段も、非常に数が限られており、エイブは敵に鉢合わせた際に勝てるような攻撃手段がない。 なお、本当にプレイヤーの操作に従って動いているためか、ゲームの動きにない操作をするとカメラ目線で「分かんない」と言ってくる。 そんな無力なエイブが即死要素だらけの工場を突破する鍵は「会話」と特殊能力「チャント(お祈り)」。 「会話」は文字通り会話であるが、敵を説得することはできない。仲間と会話することで、仲間の誘導を行うことが主な目的。 ほとんどの仲間は指示をしないと脱出場所に向かわせることが出来ないが、その途中にもエイブも仲間も死ぬトラップがある場合があるため、指示から行動までのレスポンスを意識しながら、細かな指示をして脱出へ導くことが必要となる。 「チャント」は一定時間その場で祈ることで、不思議な力を発揮できるエイブの能力。 その中でもメインとなるのが「敵への憑依」。工場内には銃を持っているエイブたちの監視役である「スリッグ」が多く配置されているが、チャントをすることで彼らの体を乗っ取ることが可能、以後乗っ取ったスリッグの死亡まで操作キャラが変更される。 もちろん持っている銃もそのままなので、エイブが移動しても安全なように銃で他の敵を始末する、スリッグに従順な犬のような敵「スロッグ」と会話して誘導するなど、エイブに出来ない様々な行動ができる。 ただし、同画面内にスリッグがいる状態でチャントをしないと乗っ取れない(別画面に移動して乗っ取りを回避する個体もあり)、ジャンプなど、エイブができてスリッグが出来ない行動がある、一度乗っ取った後はスリッグの死亡以外に乗っ取りは解除できないなど、万能ではない。 それ以外にも、「鳥の輪」から移動用、仲間の救出用ゲートを開く、鐘を鳴らすなど、様々な効果がある。 評価点 これらの要素や、様々なマップギミックを駆使して、基本的には敵やトラップから逃げつつ避けつつ、環境が揃ったときには攻めることのできる、面白いバランスに仕立て上げられている。 敵の動きは細かな法則性が定められており、如何にAIの穴を突いていくかがカギとなる。クリアのためには細部まで理解するのが必要となり、謎解きの完成度は非常に高い。 例えば仲間が敵の近くにいるときは、「敵が画面外に出た隙をついて連れ出す」「チャントで敵を操れる状況に持ち込む」「別の敵を操って同士討ちさせる」など様々な救出手段が考えられる。しかし周囲の状況はそれを簡単に許してはくれず(*1)、どれが正解でどういった方法を試せば実現できるのか、色々と推理する楽しみがある。 敵の監視を掻い潜るスリルも満点で、『メタルギア』シリーズのようなステルス要素も魅力である。 残機が撤廃されたスムーズなゲーム性 難易度が高く繰り返し死ぬ代わりに、何度でもやり直しがきく親切設計になっている。これにより謎解きを失敗覚悟で試行錯誤しやすく、難所を乗り越える快感を存分に味わう事ができる。 別作品で例えると、魅力の方向は『I wanna be the guy』(*2)に近い。死にまくっては乗り越えるタイプのゲームが好きな人にとって、本作はうってつけのゲームと言えるだろう。 自由度の高さ 攻略に使えるアクションや戦略は多く、時にはわざと仲間を射殺したりミキサーですりつぶすといった外道プレイも行うこともできる。やりすぎると後味の悪いエンディングとエイブからのダメ出しが待っているが。 なおこれが可能なのは序盤だけで、後半になると高難易度のためとてもじゃないがそんな余裕などない。 濃厚な世界観 脇を固める要素でありながら綿密に作り込まれており、本作の魅力の一つとして受け入れられている。 文明社会に侵食される精霊信仰の世界観は細やかで印象的。機械の世界とスピリチュアルのギャップは、思わず引き込まれてしまう。 おそらく開拓時代のアメリカをモチーフとしており、それをサイバーパンクな世界観に落とし込んだのは斬新かつ唯一無二である。 世界観を彩るCGは当時としてはかなりクオリティが高い。 工場のディテールの作りこみは『ファイナルファンタジーVII』の魔晄炉を彷彿とさせる。ムービーとゲーム画面がシームレスに移行する演出も巧み。 ストーリー展開も魅力の一つ。 エイブは何も持たずに孤軍奮闘し、仲間を救えなかった絶望や厳しい試練を乗り越え、大きく成長していく。シリアスな世界観に対し結末へのカタルシスは大きく、一本の映画のような満足感が得られる。 先述のバッドエンドが後味悪い分、グッドエンドは短いながら感動できる物になっている。 賛否両論点 難易度の高さ 非常にシビアなタイミングで入力を何度も成功させないとクリアできない場面が数多くあり、人によっては「またこんなのか・・」と思われるような場面も。 その分やりごたえは十分であり、乗り越えた時の快感も大きい。操作性の悪さをどれだけ許容できるかどうかで面白さが変わる部分もある。 日本受けしにくいキャラクターデザインは人を選ぶ。 主人公のエイブ達「マドカン族」からして、人型で緑色の肌、鼻が無く目が大きい弁髪と、異世界の存在であることはわかるがキャッチーとは言えない。何より口が縫われており、画面上に出るポップなアイコンにも反映されているため、初見ではギョッとするだろう。 それ以外の生物には二足歩行の人型はおらず、上記の「スリッグ」も腕はあるが足が無いため義足ありきの存在であるなど、大体クリーチャー寄りのデザインになっており、特殊な世界であることが強調されている。 例外は坊主のおっさんにしか見えない敵の重役である「グラッコン」(人型に見えるが実は腕は無い)と、二足歩行のラクダ型騎乗生物の「エラム」くらい。 肉片となる死亡描写や、猛獣に食い殺されないように逃げるなど、エグい表現も多い。 今でこそCERO Cから残虐表現を把握できるが、当時はレーティング機構はおろか「グロテスクなシーンが含まれます」マーク(*3)すら無く、ポップなCMやパッケージに釣られて購入してしまったプレイヤーも多いと思われる。 会話の一つに「おなら」が含まれている。 ジョーク要素のためだけではなく、ゲーム進行に必須の会話の一つでありクリアのためには使わざるを得ない。異文化感は出ており、音も強烈すぎはしないが、不快感、不潔感が全く無いわけでもない。 ちなみに続編の『エイブ99』では「特殊なおならをした後、チャントで操ることが攻撃手段」という、よくわからない方向にまで発展している。 問題点 取り返しの付かない要素が多い 仲間は銃に撃たれたり穴に落ちたりする事で死亡し、二度と復活しない。 その上ゲーム進行は基本的に一方通行であり、一度クリアしたステージに入り直す事はできない(*4)。助け損ねた仲間がいる状態でステージをクリアすると、その仲間は二度と救出できなくなってしまう。 うっかりセーブポイントを通過すると、死亡時はそこからの再開になってしまうので潰しがきかなくなる。 仲間の救出数はゲーム内でも頻繁に見せられる収集要素なのだが、あまりにもシビアかつ理不尽な仕様となっている。 またゲーム序盤はノーヒントの隠し部屋に多数の仲間がおり、チュートリアルが行われていないテクニックを要求されるなど、明らかに1周目のコンプリートを前提としていない仕様となっている。 幸い隠し部屋の存在自体は説明書をよく読めば容易に推測できるのが救いである。 本作を完全クリアするならば、何周も遊ぶ覚悟をした方が良い。遊ぶのに必要なブロック数は1だが、可能であれば容量の空いたメモリーカードをフル活用して細かくセーブし、後から取りこぼしを確認できるようにしておく事を推奨する。 仲間の救出には手間を要するものも多い。 会話は一度に一人としか行えないのに一定人数同画面で救出しないと突破できないギミックや、敵の操り方を少し間違えるだけで救出失敗する場面など、後半では根気を要する場面が増えてくる。 同時会話に関しては続編の『エイブ99』では、「多人数に同時に呼びかける」が可能になり改善されている。 セーブ時に上書き保存が出来ない。 セーブの際は既存データを消してから新規保存するしか無く、テンポが悪い。 セーブ画面ではメモリーカードのデータ全てが表示される。単に進行を記録するだけでセーブデータを消さなければならないので、間違って大事なデータを消してしまうリスクもある。 ゲーム中で「負傷者」というカウントが表示されるが、内容からして「死傷者」の誤訳の可能性が高い。(*5) ただし設定的にはエイブの命を狙い、上記のような所業を行う「敵側が公表しているカウント」であるため、「死傷者を負傷者と偽って、事の重大さを隠蔽している」という可能性もある。 総評 大々的な宣伝の元で発売された本作だが、そのゲーム性は癖が強く、広く受け入れたとは言い難い。シビアな操作や仲間救出のハードさが足を引っ張り、手放しで勧められない部分も散見される。 反面、自由度の高い選択肢から切り込んでいく謎解きの完成度は高く、慣れてくるとその奥深さを存分に味わう事ができる。綿密な世界観に魅入られたユーザーも多く、傑作と評するプレイヤーは日本でも決して少なくない。 アクションや謎解きに自信のあるプレイヤーは、一度挑戦してみてはいかがだろうか。 余談 その後の展開 本作は反響を得てシリーズ化し、海外を中心にさまざまな続編が発売されている。 日本でも2作目『Oddworld Abe s Exoddus』が『エイブ99』という名前で発売されたが、あまり出回らず今ではプレミアがついている。 3作目『Munch s Oddysee』がXbox向けに出ているが、こちらは日本未発売である。 4作目『Oddworld Stranger s Wrath』はXboxで、リマスター版である『Oddworld Stranger s Wrath HD』はWindows、PS3、PS Vita、Mac OS X、iOS、Androidといったマルチプラットフォームでリリースされている。だが、どちらも日本未発売(*6)。 本作は2014年に『Oddworld New n Tasty』というタイトルでリメイクされている。プラットフォームもPS4を皮切りに、PS3/PSVita/XboxOne/Windows/OS X/Linux/Wii U/Android/iOSと実に多くのプラットフォームでDL配信専用ソフトとして発売された。一部を除き日本の各配信ストアで入手可能。 吹き替え無し。字幕は本体設定と連動して言語が変わる仕様。(*7) 操作性、マップデザインともにオリジナル版とほぼ同じ。グラフィックを置き換えただけの堅実なリメイク。 日本語環境でのプレイには問題が多い。字幕の質が機械翻訳のほうがマシに思えるほど低く、日本語設定でプレイするとある地点で必ず進行不能になるバグまである。更にホーム画面でのタイトルが「シンプルシューティングゲーム」になっている。 2018年には海外版『プレイステーション クラシック』に移植された(日本版には未収録)。 エイブの吹き替えは山寺宏一氏が担当している。 大胆に加工されているため、言われても気付きにくいものになっている。 エイブを始めとするマドカン族は、日本語版においては指が3本だが、原語版では4本である。 日本のアニメやゲームでは込み入った事情により4本指の表現が避けられている。大抵の場合は5本指に修正されるのだが、3本にされるパターンは珍しい。 むしろ、4本はアウトなのに3本はOKというのもなかなか興味深い。 原語版冒頭にはマドカン族の生首を模した食品の広告が出てくるが、日本語版では棒アイスのようなデザインに差し替えられている。これは同年に発生した「酒鬼薔薇聖斗事件」の影響。 ちなみに、同月の洋ゲー『クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲!』にも同じ原因で差し替えを食らった場面が存在する。 日本では「AKB48」「湯川専務」などで知られる秋元康氏がプロモーションを行った。 しかし、肝心のCM内容は女子高生達が教室でエイブと踊り明かすという、ゲームの作風とかすりもしない内容である。 + 動画 CMを見ても一体どういうゲームなのか全く伝わらず、その評判はよろしくない。 秋元氏は商業プロデュースで数多くの成功を収める反面、奇をてらいすぎて大コケする例もたまにあり(*8)、本作のCMはその名だたる例と言える。 またイメージソングとして本作のために独自に結成した女性アイドルグループを起用しているのだが、これも本作の陰惨な雰囲気に即しておらず、浮いてしまっている。 このBGMはゲーム内でもOPやEDとして使われているが、インスト版しか使われていないこともあり、幸いそこまで雰囲気を壊してはいない。
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本項目ではプレイステーション3用ソフト『ビビッドレッド・オペレーション -Hyper Intimate Power-』と、その販売促進用ソフト『あかねとマヨっとオペレーション!』の紹介をしています。 ビビッドレッド・オペレーション -Hyper Intimate Power- 概要 問題点 キャラゲーとしての問題 ゲームとしての問題 評価点 総評 余談 ビビッドレッド・オペレーション あかねとマヨっとオペレーション! 概要(マヨ) 問題点(マヨ) 評価点(マヨ) 総評(マヨ) 余談(マヨ) ビビッドレッド・オペレーション -Hyper Intimate Power- 【びびっどれっど おぺれーしょん はいぱー いんてぃめいと ぱわー】 ジャンル 空翔けるビビッド・アクションゲーム 対応機種 プレイステーション3(PlayStation Store) メディア ダウンロード専売 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 デジタルメディアラボウィッチクラフトクラインコンピュータエンタテインメント 発売日 2013年6月20日 定価 通常版 5,500円ビビっとテンコ盛りパック(*1) 8,500円(共に税込) 備考 2019年3月28日に配信終了 判定 クソゲー ポイント 2013年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞 水平移動しかできない空中アクション全編トレーニングモードの地味すぎる仕様DL専売フルプライスでクリアまで僅か3時間詐欺同然のPV&公式サイト稀に見る香ばしさの販促ソフト(後述) クソゲーオブザイヤー関連作品一覧 概要 TVアニメ『ビビッドレッド・オペレーション』をコンシューマーゲーム化した、ダウンロード専用のフルプライスゲーム。 同作の監督は「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」でお馴染み『ストライクウィッチーズ』のアニメシリーズを手掛けた高村和宏氏。 原作そのものは「尻(と百合)の描写にこだわった変身SFバトル少女もの」だが、ゲームはTVアニメ版の中盤位までを再現したストーリーを背景とした、3D空間で繰り広げられるアクションゲームとなった。 いわゆるアニメとほぼ同時進行で作られたであろう、バンダイナムコゲームスが主に手がける数多のキャラゲーの一つである。 期間限定版として、『ビビっとテンコ盛りパック』というタイトルの特典付きのバージョンも配信されていた。 内容は簡単に言えば電子ファンブックといったところで、電子媒体を活かして資料のみならず本作のBGMなども収録されていた。その分値段もやや上乗せとなっている。 一見するとそうでもないのだが、いざプレイしてみるとその尽くプレイヤーの意気を削ぐ仕様の数々に苦しめられる。 原作ファンは原作ファンで、愛する作品のキャラゲーを楽しもうにも、もはやキャラゲーとしての体裁すらほぼ構築出来ていない本作を楽しむことなど出来ず、ただ虚無感に包まれる。 それがフルプライスのダウンロード専売されているのだ。よって一度買ってしまうと一切二度と金に戻せないというのが本作購入のハードルを上げることになる。 ゲームとしてもキャラゲーとしても全てにおいて無為な存在であることが決定打となり、クソゲーオブザイヤー(以下、KOTY)2013の大賞受賞を果たした。 問題点 往々にして現在進行中の原作をテーマとしたキャラゲーは、ゲーム性以上にキャラクター性を重視しすぎたものが多いためか、良ゲーが出づらいジャンルである。 よって本作もそこまで期待されていたわけではなかった。が、購入者の予測とはまるで違う方向に極まったクソさがあったせいで大きな話題になった。 キャラゲーという考慮出来る部分はありながらも、ここまで評価が低くなった原因は、そのどちらにも救いが存在しないためである。 なにせ…通常税込5,500円にも拘らずCD-ROMに満たないデータ容量:僅か629MB(*2)、そしてプレイ時間は早くて2時間~遅くても3時間少々という内容の薄さは、すでに本作を「値段不相応」と断じるに十分すぎたのだが…。 キャラゲーとしての問題 キャラゲーなのに使えるキャラが1人しかいない。 プレイヤー選択画面ではプレイヤーキャラという項目が設けられており、いかにも別のキャラが使えるようになりそうなUIをしているが、主人公たる一色あかね以外は使用できない。わざわざ項目を作っておいてこの有様のため、疑問を抱かざるをえない形になっている。 設定上あかねがメインとなり、他のキャラとドッキングする格好になるが、それにしても友軍となるキャラクターのモデリングが全く作られていないのは手抜きと言われても仕方がない。原作からして他のキャラと同時に出撃出来ないわけでもないのだから尚更である。 スピンオフや一キャラにスポットを当てた作品(本作なら下記の『マヨ』など)というならまだわかるが、そういう作品というわけでもない。そもそも公式サイトであかね以外のキャラクターの変身後イラストも出しているので、その意図があったとは言い難い。 そんなプレイアブルになっていない他のキャラはADVパートでのみ登場する。ゲームプレイ中は一色あかねと合体するだけの素材となっており演出もない。 本作のテーマとして『友情』があり、それこそが世界を救う鍵とされている。にも拘らずこの始末では、『友情』を削減して『容量』を増やしたと揶揄されても文句は言えないだろう。 そもそも、別に合体パーツとなるキャラを操作できていたとしても、合体システムをゲームに落とし込むうえでは問題なかったはずである。 以上の状況にありながら、公式サイトにはメインの4人がでかでかと掲載されており、いかにも他のキャラもゲーム中に使用出来るかのような紹介になっていた。まさかモデリングすらないなんて誰が想像しただろうか。 またメインキャラの一人であるビビッドイエローに関しては、原作準拠の固有武装となるビット系武器ではなく、何故か鞭が基本装備となり、シールドは使用されない。 原作を知るファンであれば、さらに物語のキーパーソンである黒騎れいが使用出来るようになると思ったであろうが、彼女の取り扱いが最も酷いという惨状。最終決戦に登場した黒騎れいとのドッキング形態は高額なDLCとして販売されたのに既存のドッキングと性能に大差はなく、最初から付けろと言われても仕方ないレベル。 尤もPV映像では、あかねとその合体形態しか紹介されていないため、その点では嘘はついてはいなかったということだが……。 原作の内容を大胆に割愛したため、把握している原作ファンですら首を傾げる極小のボリュームに。 アニメの内容と照らし合わせれば、わずか1クールの内容における中盤程度で突如終了する。本作の発売は放送終了後から約三ヶ月後であり、原作のストーリーが途中なのに販売を強行したという言い訳も効かない。 本作の世界観などもかなりざっくりとした紹介となっており、アニメを見ていないと重要な部分は理解できない。 主人公の祖父が何故かカワウソのぬいぐるみ姿である理由など、割合気になるポイントもかなり飛ばして紹介されているため、具体的な理由が初見の人間にはわからない。 キャラゲー故に全ての事情を知っていることを前提としているのだろうが、それを考慮してもいろいろ削りすぎている。 そのくせ第1面の冒頭では、キャラクターが1人登場する度に、あかねによる長~~~~~い紹介台詞がいちいち入るため、テンポも何もあったものではない。 なお、れいがあかね達に接近している理由はあかねも知らない為か一切語られない。故にれいが重要人物のはずなのにただのコミュ障と化している。 オリジナルストーリーも存在しているがほぼおまけ。原作を知りたいなら原作を買うべきであるし、このためにこの作品を買う必要はない。 参考までにKOTY2013において本作の解説がなされた際、このゲームにおけるストーリーは2行程度に収まるものだと称された。 私あかね14歳。3人の友達と一緒に敵と戦ってるよ。お鍋食べたり、遊びにいったりもするし、妹も可愛いよ。 れいちゃんって子を助けたけど、鍵が無いってなぜかキレられた。探してあげよう。あ、れいちゃんだ、おーい!(終) この内容のとおり、ラストは打ち切り番組のように全てが終わる。そのため最後の1人に対する掘り下げは、ただでさえ全般的に内容が薄い本作においてさらに中途半端になっている。 原作の売りであった変身とドッキングシーンがカット 変身シーンは本作で唯一のプレイアブルキャラであるあかねにすら用意されていない。毎度毎度変身シーンを挟まれてもゲームのテンポが悪くなるだけだが、最初くらい挿入してもらいたかったものである。 OPにもアニメ映像をそのまま使ったとはいえ変身バンクシーンは使用されていたので、より疑問が残る仕様である。 ドッキングもアニメの合体バンクシーンが挿入されず画面が一瞬ホワイトアウトしたかと思えばあかねが合体した状態として戦闘が始まる。仲間は友軍NPCとしてすら登場しないので、原作本来の売りであろう「仲間と一緒に戦っている感」は一切ない。 変身シーンでは下着姿になるためゲームとして全年齢の体裁を保つのが難しかったとしても、変身バンクシーンがOPで出ている以上、そちらのカットは擁護が出来ない。そもそも本作はCERO C(15歳以上対象)でかつジャンルはセクシャルである。 ADVパートの内容も上記に合わせて薄い。 フルボイスのセリフを聴いても1パートは5分ほど。スキップしてしまうと1分もかからないことからその文章量が知れる。 イラスト自体は酷い作画崩壊もない(例外あり)が無処理の立ち絵はジャギーや塗り残しが確認される。 選択肢は適当に選んでいるとドッキングのパラメーターに影響する値が下がるが、間違えたところで自然回復するうえにヌルい戦闘パートを考えると特別重要でもない。 友情を主題とした原作に対し、適当な友情を育んでいれば目的は達成出来るゲームということである。 ゲームとしての問題 空を駆けるアクションゲームなのに、水平移動しか出来ない。 よってプレイヤーはただ変わり映えのしない青空を延々と移動し、出てくる敵を倒すだけの単調な作業にしか勤しめない。これでは歩き回っているのと変わらない。 地上で戦っていると想定しても、ジャンプすら出来ないのだから従来のアクションゲーム以上に劣化している。 単調な背景に加えて、プレイヤー・敵キャラ共にエフェクト・影付けなどの不足によって距離感が掴みづらい。というか、もはや移動しているのか止まっているのかも分かりにくい。 『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』などのゲームでは、たとえ二次元移動(水平移動)のみしている場合でも(*3)、敵配置に応じて自動的に自機の高度や角度を変えることで立体的な機動を感じさせている。だが本作にはそのような工夫はなく、平面上で戦っている感覚しか得られない。 アクションパターンは2種類しかなく、通常攻撃も2段しか振れない。 あかねの武器は簡単にいうとブーメランなのだが、これを投げられるのはもう1種類の攻撃パターンとなる必殺技だけ。 ドッキング後の攻撃パターンもこれに準ずるため、無双アクションとしてかなり貧相。 しかもドッキングしても攻撃範囲が広まるだけで、目に見えて強くなるわけではない。 ロックオンシステムの挙動が謎で、基本格闘武器しかないのに遠くの敵を何故か優先的にロックしてしまう。 敵の攻撃を跳ね返すこともできるが、はっきりいって回避を捨ててまでやることではない程度の性能。 原作ではビビッドイエローの武器がそういう能力を持っていたので、イエロー固有の技にしてもよかったのではないだろうか…? 雑魚敵が2種類(ボール型とウニ型)しかいない。 この二種の敵はいずれもサイズが極小で、攻撃を当てにくい。また、何故かカメラは背後視点で固定されているので、敵を視認するのも難しい。 常にあかねの尻を拝み続けられるようにという配慮なのだろうか。 しかも敵は積極的に攻撃してこないので、雑魚戦はただ武器を振り回して同じ敵を無感情に倒していくだけの作業である(通称潮干狩り)。まともにやれば総プレイ時間は3時間程度とすら言われる。これは後述のモードを含めての時間である。 雑魚敵は倒した際エフェクトと共に爆発音が鳴る。必殺技で一気に蹴散らせると爽快…と思いきやそうした場合爆発音が同時に発生して非常にうるさい(*4)ため余計にストレスが溜まる。 ボスキャラもいるが、雑魚・ボスを含めて敵は上下左右自由に動ける。こちらは水平移動しか出来ないのに、これでは不公平である。プレイヤーは敵が攻撃出来る位置に降りてくるまで待たねばならない。 雑魚キャラは攻撃意欲も弱く、それほど動かないのでまだ良いが、ボスは上昇して当たり判定から外れ、攻撃出来る時間が限られているのでただ面倒なだけ。 それでもヌルく他はあっさり終わるのに対し、ラスボスだけは意味もなく20分程度かかってしまう。 高評価を得るためにはノーダメージを目指したりコンボ数を稼ぐ必要があるが、上記の仕様のためそれを狙いづらい。 弾を食らってもダメージは低く、ドッキングすれば全回復するので、よほど狙わない限り撃破されてゲームオーバーになることはまずない。難易度が異常にヌルいと言われる理由の一つ。 しかし、相手の弾自体は全般的な操作性の悪さにより理不尽に当たってしまう。そのくせ評価に影響するというのだから、プレイ中はかなりストレスがたまる。 単調で虚無感漂うゲーム展開の中でのじわじわと蓄積されるフラストレーションは、もはや何かの苦行でしかない。 しかもコンボ中に処理落ちしやすく(*5)、それによって途切れやすいため爽快感もなにも得られないのが拍車をかける。 チャレンジなどのモードがありながら、やりこみ度が薄い。 先述したが、メインモードとなる『エピソード』、サブモードとなる『チャレンジ』を含めたプレイ時間は、大きく見積もってもせいぜい3時間程。しかもその内容はエピソードモードの切り抜きでしかないという手抜きさで、チャレンジモードだからと言って目新しさもなし。 一言で言ってしまえばただの苦行の繰り返しである。せめて別キャラも使えれば気も紛れようものだが先述の通りそんなものはないし、一応クリア特典はあるのだがこのゲーム内容でそこまでモチベーションが保つかというと…。 トレーニングシナリオからスタートするのだが、本編もそれと全く変わらない。よって終始あかねのトレーニングの模様を見ているかのような感覚にすら陥る。 繰り返しになるがこの容量629MBに偽りなしのボリュームで5,500円というのだからボッタクリもいいところである。 評価点 あかねの3Dグラフィックそのものはキャラゲーとして及第点。これを作るためだけにこの作品を作ったのか、あるいは一人を作ったところでギブアップしたのか。何にしてもキャラゲーである以上、一人で終わったのは大問題だろうが…。 ギャラリーモードではそんなグラフィックを拝むことが可能。ミッションクリアによって手に入るアイテムで、ある程度容姿をカスタマイズすることも出来る。 …がしかしカスタマイズの基本パーツはそれほど多くなく、色替えものが占めている。しかも、一部は装備しても今一つ変わり映えがしない。 モーションは少なすぎるのだが、一応各モーションそのものに変な挙動はそれほど見られない。ゲームとしては当然ではあるが、KOTYに名を連ねる連中にしては一応の加点。 OPの完成度は決して悪くはない。 もっともその内容の多くはアニメ劇中映像の使い回しだが…。 総評 話に聞くだけでは大した事がないように聞こえるが、実際にプレイすることでその深淵が見えてくるタイプのクソゲー。 ゲームが気に入らなくても売却できないリスクをユーザーに背負わせるダウンロードゲームでありフルプライスながら極端な低容量、という明らかに見えている核地雷ではあった。 内容はゲームとしてもキャラゲーとしても楽しめる点が一切なく、単調なゲーム展開が続くいわゆる虚無の連鎖。 理不尽なダメージ、文字通り次元の違う戦いを強いられることで、むしろじわじわとストレスが溜まるような構造になっている。 救いを求めてファンのためのキャラゲーとしての方向性で見たとしても、キャラゲーとして崩壊しているレベルの惨状が広がっていた。 特に主人公以外操作不可能、味方として画面に登場すらしないという理解に苦しむ仕様は、本ゲームの存在意義すら失わせている。 擁護すればグラフィック自体は及第点である。この点だけを見ればキャラゲー的にはむしろ高クオリティと言えなくもない。 これに伴い尻が見られたから良しという声が無かったわけではないが、それなら原作を買えば良く評価に加点とはならなかった。 本当にこれで中身がキャラゲーとして十分な仕様であれば、KOTYの歴史に刻まれることもなかったことだろう。 ダウンロード専売という響きが制作側の気を緩めたのか、そういった素材の良さを一切活かせず、各方面において救いようのない出来になってしまったようにも見えてしまう。 余談 アニメ版は前述した様に高村和宏氏が監督しており、売りである尻の作画の良さから楽しんでいる人もそれなりにいた。それだけに今作がこんな出来となったのは残念でならない。 本作はKOTYの話題作として目をつけられる前、後述の3ヶ月程前に登場したミニゲームの香ばしさがスレの間で話題にはなっていた。 転機が訪れたのは2013年の中期のこと。幸か不幸かその年のKOTYは不作に悩まされており、話題にあげるほど強烈なクソゲーが現れてはいなかった。 行き場をなくしたスレ住民らは、最後の手段として「遡って発売済のゲームを再検証する」という行動に出た。結果、本作が先に話題となっていたクソゲーに十分比肩し得るとんでもない悪魔だったことが発覚し、一気に注目の的となったのである。 因みに同年のエロゲ部門大賞もほとんど同じ経緯で発見されている。 今作では大不評となってしまった『ビビオペ』のメディア展開だが、後に御祭りリズムアクションゲーム『ミラクルガールズフェスティバル』にも出演している。 ビビッドレッド・オペレーション あかねとマヨっとオペレーション! 【びびっどれっど おぺれーしょん あかねとまよっとおぺれーしょん】 ジャンル あかねとマヨ盛りアクションパズル 対応機種 プレイステーション3(PlayStation Store) メディア ダウンロード専売 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 不明 発売日 2013年3月28日 定価 300円 備考 本作を購入すると本編『Hyper Intimate Power』が500円引きで購入可能(現在は終了)2019年3月28日に配信終了 判定 クソゲー ポイント "HIP"を王者の道へと後押ししたミニゲーム実際はアクションパズルでもなんでもない適当にやってトロフィーフルコンプ余裕総プレイ時間は短くて10分、最長30分程度本編のミニゲームとして収録されたとしてもやりたくないレベル 概要(マヨ) 『HIP』配信の3ヶ月程前に登場したミニゲーム。通称「マヨ」。 内容は、左スティックを回転させ料理のうえにマヨネーズを途切れないようトグロ状に乗せる。以上。 本当にそれ以上でもそれ以下でもなく、概要として解説出来ることはこれ以上ない。 アプリゲームとしてもありえないような内容の薄さが話題となった。 かつては本作を購入すると本編が500円引きで購入できた(現在は終了)。 HIPにおいて、マヨネーズの形を模した武器が使用出来るようになる特典DLCも手に入れることが可能だったが、武器の性能は一切変わらない。 問題点(マヨ) 300円という安価な値段にすら見合っていない内容。 はっきり言ってしまえばゲーム内のミニゲームレベルでしかないボリュームであり、仮に本編に入ってたとしてやりたいかと言われれば…。 5段階の難易度によってマヨネーズの色(味)が変わるものの、それすら適当にやっていてもクリアは十分可能。 マヨネーズを盛り付けていく時のSEは変に生々しく、ゲームの虚無感と合わせて気分を害すかもしれない。そんなところに力を入れなくても…。 マヨネーズをかけている最中に、「たっぷり~」出来上がると「上出来~」などと言ったりするが、口を動かさない又は合っていない。細かい点だが、ゲームの内容が内容なので(ry 評価点(マヨ) 一応グラフィック的にはアニメ絵をほぼ違和感なく動かしており、マヨネーズの減り方も妙に生々しい。 総評(マヨ) 『300円を払う価値があるかどうかすらもわからない』とまでいわれていたほどの極小内容。 本体ゲームが安く買えて、結論としてお得なのは間違いないのだが、それを加味してもそちらの価値は薄い。 強いて言うなら、この時点で本体ゲームがどうしようもないクソゲーだということを教えてくれたことは有用だったかも知れない。 さらに言うと、このプライスオフサービスは現在行われておらず、本格的に存在意義が疑われるゲームになっているのがまた救えない…。 余談(マヨ) トロフィーコンプが容易であることから、トロフィー収集家的には評価された。だが300円という価格が見合っているかは定かではない。 上記のように、そのあまりに衝撃的で、怒りを通り越して何の感情も抱けない内容のなさが話題を呼び、KOTYスレにおいて『ケツマヨ』なるAAを生み出すキッカケとなった。 ただ当時は一緒に本編を買うと500円引きになるというメリットがあり、差し引き200円得をする割引券のような存在であるため、KOTYスレでは他の候補作と同一基準で比較できないのではないかという声が上がり、あまり真剣に話題にされなかった。しかし先述の通り、これがきっかけで『HIP』本編が再発見、再評価されたという経緯がある。本作の存在があったからこそHIPのクソさに華を添え、KOTY大賞という栄冠(?)を得る決定打の一つを作ったとも言える。 ちなみにKOTYでは「値段が安い」という理由も一応は考慮されるが、それだけで見逃される・全て許されるという様なことは全くない。いくら安くてもクソはクソである。 あかねが度を越したマヨラーだと言うのは原作どおりではある(*6)。が、まさか「主人公が好物を作るだけのゲーム」に金を払う事になるとは誰も思わなかっただろう。それを差し引いても、マヨネーズをかけるものが野菜やドンブリ飯の比較的常識的なものはともかく、おはぎ等になってくると最早グロでしかない。上記のとおり原作準拠ではあるのだが…。
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パンチライン 【ぱんちらいん】 ジャンル 幽体イタズラアドベンチャー 対応機種 プレイステーション4プレイステーション・ヴィータWindows(Steam) 発売元 MAGES.5pb.【Win】PQube 開発元 セブンスコード 発売日 【PS4/PSV】2016年4月28日【Win】2019年5月23日 定価 【PS4/PSV】7,350円【Win】5,150円 プレイ人数 1人 セーブデータ 30箇所 レーティング CERO D (17才以上対象) 判定 なし ポイント ノベルゲーのような何かSF、タイムリープ、ギャグのごったがえしアニメ版とは違う未来へ 概要 あらすじ ゲームの流れ その他機能 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 infinityシリーズで有名な打越鋼太郎が脚本を手掛けた同名アニメのゲーム化作品。更には監督に中澤工、プロデューサーに市川和弘と、infinityシリーズを生み出したスタッフが集結している。 『パンチライン』は主人公がある事件以来、幽体離脱してしまい、元の身体に戻る為に奔走する事になるが、何故か女の子のパンツを見ると人類が滅亡してしまう。という奇妙奇天烈な世界観で展開するシチュエーションコメディである。本作は基本的にアニメ版のストーリーをなぞり、細部を変更して新規の描写を挟みつつ展開する。 『パンチライン』自体もともとゲーム用の企画ではあったが、先に2015年春季にノイタミナでアニメ化を経験するという少し変わった経歴を持つ。そのため、本作にはアニメで使われたシーンが随所に再利用されている。 打越氏は新作ゲームとして企画を持ち込んだが、市川氏から「これはアニメ化した方がいい」と勧められ、市川氏がフジテレビに売り込んだ事でアニメ化&ゲーム化が決定。その後、本作用のシナリオを原案としてアニメ版が製作され、それをフィードバックする事で本作が完成した。従って、本作は「アニメ版のキャラゲー」とも言えるし、「アニメ版の原作」とも言える不思議な立ち位置の作品であり、アニメ未視聴者でも問題なくプレイ出来るようになっている。 上記の理由により、本作のキャラ・シナリオ面の評価はアニメ版と直結する為、本頁の一部項目ではアニメ版を含めて本作の評価として解説している。 アニメ版では音楽はかのTKこと小室哲哉が手掛けており、ゲーム版の本作も引き続いて担当している。 アニメ、ゲーム共に打越氏が作った歌詞に小室氏が曲を付けた珍妙な劇中歌も数曲収録されており、公式サイト曰く「これで打越さんも小室ファミリーらね」との事。 各階3部屋ずつ。2階建の合計6部屋のボロアパート「 古来館 (こらいかん)」がゲームの舞台。 主人公・遊太は姉から譲り受ける形で古来館に居住していたのだが、何者かに肉体を奪われて幽体化してしまう。更にその肉体を奪った何者かは遊太の自室にこもり、幽霊を寄せ付けない結界を張ってしまう。 古来館の同居人として、仮面のヒーロー(ヒロインではない)をやっている「 成木野 (なるぎの) みかたん(*1)」、大家で発明家の「 台初 明香 (だいはつ めいか)」、恋愛依存気味のエセ霊媒師「 秩父 (ちちぶ) ラブラ」(30歳)、引きこもってネトゲ廃人になっている「 曳尾谷 愛 (ひきおたに いと) 」が登場。 何故か遊太は幽体の状態で女の子のパンツを見ると地球に小惑星が激突して人類が滅亡してしまう。幽体は時間の物理法則が適用されない為、やり直しは何度でも出来るとは言え、古来館の住人達は年頃(?)の女子ばかりなので…。 乗っ取られた自分の肉体を取り戻すためには、古代インドの聖典「ナンダーラガンダーラ」が必要という触れ込みで、遊太はそれらしき本を探し回るが…。 あらすじ 偶然バスジャック事件に巻き込まれ、それを切り抜けたのもつかの間、空から飛来した謎の魂に自らの肉体を乗っ取られてしまった少年「 伊里達 遊太 (いりだつ ゆうた)」は怪しい猫の幽霊「チラ之助」の指示するまま自らの肉体を取り返さんと奮闘する。しかしこの事件は序章に過ぎず、数日後に迫る人類滅亡、そして自分に秘められた秘密が入り乱れた数奇な戦いへと巻き込まれることになる。果たして遊太はチラ之助の言う「最高にハッピーでピースフルな未来」に辿り着く事が出来るのだろうか。 ゲームの流れ 概要・特徴 ジャンルはアドベンチャーだが、本作は3Dアニメーションが織りなすシナリオを読む。アニメのような「各話構成」を意識しており、節目節目にオリジナルのOPテーマ、EDテーマも挿入される。 OPはムービー、主題歌共にオリジナル。EDは主題歌はオリジナルだが、ムービーはアニメ版の使い回し。新規OPのボーカルはヒロインのみかたん役の雨宮天が成木野みかたん名義で担当している。歌詞も曲もムービーも、『パンチライン』のテーマと言うより寧ろみかたんのキャラソンのような…。 各話の中間にはアニメのCM時のようなアイキャッチが入る。アニメ版で使用されていた妙にエロティックなイラストも流用されている。 前半はややアクション要素もあるが自由度はあまりない。後半は文章を読みながら選択肢を選ぶ頻度が高くなり、実際にエンディングへの分岐にも影響してくる。 イタズラ・イタゴラ 遊太は幽霊であり現実世界にあまり干渉できない。自室以外の部屋は自在に行き来できるが、隣人に話しかけることはできない。 物理的に何かをわずかに動かすことで、隣人をそそのかして行動させる。こういった流れをふんでようやく満足に現実に干渉できる。 また古来館の隣人を心霊現象で脅かして幽霊としての力を磨くパートも存在。 監視カメラのように同居人の部屋を見回しながら、どの物体に霊力を行使するのか選ぶ。視点はスティックで微調整でき、L/Rで見ている範囲を切り替える。 視点の中央にとらえた物体に○ボタンを押せば、なにかしらのアクションができる場合がある。アクションできる物体はシンボルで表記される。 脅かして力を得るだけのパートを作中では「イタズラ」、古来館全体の住人を巻き込みながらイタズラを展開し、連鎖を起こしながら住人のだれかに何かをさせる「イタゴラ(『ピタゴラスイッチ』のパロディ)」と呼称している。 いつどんな霊力を行使するかはシナリオ準拠であり、プレイヤーが好きな時に幽霊としての力をレベルアップさせたり、隣人に何かしてもらうことはできない。 「パンツを見ると人類滅亡」という設定通り、イタゴラパート中に住人のパンツ(「おパンツ様」と呼ばれる)を見ると「ぼっ発ゲージ」が上昇し、これが臨界点に達すると人類滅亡でミッション失敗となる。 少しでも視界におパンツ様を入れてしまうと不可抗力にさいなまれて、おパンツ様に視界がズームインしていく。また視野に入れてから1秒ほどスティック操作が不能に(L/Rは使用可)。 また、霊力を行使できる回数にも制限がある。シナリオで定められた目標(一定量脅かす、特定の人物にとある行動をさせるなど)を達成できずに、これを使い切るとなぜか遊太が誰かのおパンツ様を見てしまい自滅。 尚、人類を滅亡させてしまったおパンツ様はギャラリーに登録される。「こんなけしからんものをコンプリートするかはあなた次第」と説明書には書かれているが…トロフィーに関わるのでやっぱり集める事に。 「イタズラ」パートでは住人を驚かせて魂の一部「ぶっ魂」を集めて霊力のレベルアップを行う。 動かすと住人が驚いてぶっ魂を得られる「正解ズラ」と、驚かせられない「外れズラ」が存在する。また、「!」の付いたオブジェクトを動かすと住人はパニックを起こすほど驚き、大量のぶっ魂を得られる代わりにおパンツ様を直視する羽目になってしまう。L/Rも使用できないが、すぐに視線を逸らせば回避できる。 「イタゴラ」パートでは各部屋を移動しつつ、イタズラの連鎖を起こして目的を達成する。 各部屋にはイタゴラを繋げる為のオブジェクトが存在し、これを予め動かしておく事で連鎖を起こす。「始」と書かれた「起動ズラ」を動かすとイタゴラが始まり、それまでに動かしたオブジェクトに応じて連鎖が起こる。 このパートにも外れズラは存在し、動かす事に失敗したり、或いは動いている事に気付いた住人が即座に戻してしまう為、連鎖には使えない。 「イラズラ」パートでぶっ魂集めに使ったオブジェクトも混じっているが、ここでこれを動かしても霊力の無駄にしかならない。一応、イタゴラパートで驚かせる事でしか見られないおパンツ様も存在するので全く無意味ではないが、基本は必要ない。 基本的に時間無制限だが、最後の方(と言ってもストーリー的には後半に差し掛かる頃)のイタズラ、イタゴラパートには制限時間が設けられ、時間内にクリア出来なければやり直しとなる。 その他機能 セーブ シナリオの区切りに入ると、セーブするかどうかをたずねられる。それ以外でも能動的にセーブ、クイックセーブは可能だが、イタズラ・イタゴラパート中は不可。 バックログ セーブ・リロードしない限り、バックログはプレイ中に見た文章を載せ続ける。 スキップ テキスト表示中にL/Rボタンを長押しすると早送りできる。また既読の文章であればスキップできる。キーコンフィグでどちらのボタンを早送り対応か、スキップ対応かに割り振り可能。 2Dアニメーションや、OPテーマ、EDテーマ中に○ボタン長押しでスキップできる。 評価点 題材の独自性 幽霊になって現実世界にいたずらを仕掛ける、という趣旨のゲーム自体もあまり多いわけではないので、ゲームの中で異彩を放つことには十分成功している。 アニメのタイトルコールのような演出、黒板を使った解説コーナーなど、若干癖のある見せ方も特徴的。 後述の難解さにも影響するのだが、シュールギャグものに、タイムリープもの、オカルトもの、SFもの、異能バトルものを組み合わせようとした一種の無謀さは評価できる。 「主にボロアパートの中」という狭い舞台設定にもかかわらず様々なジャンルをごった煮にしており、且つ大きな破綻もなく成り立たせている為、作風の面でも他に類を見ない独自性を持っている。 限られた空間の中で展開される、様々な要素を織り交ぜた奇妙で複雑なSFストーリー。という意味では打越氏が手掛けてきたinfinityシリーズや極限脱出シリーズと共通していると言えなくもない…かもしれない。幽体化した遊太は古来館から離れられない為、一応今作も閉鎖空間が舞台という事にはなる。 おバカなノリの中で謎めいた演出を随所にちりばめ、ミステリアスな雰囲気を醸し出す事にも成功している。序盤から張られる多数の伏線、中盤のどんでん返し、後半の伏線回収に怒涛の終盤戦と、二転三転するストーリーは打越氏の持ち味がしっかり活かされている。 萌え・お色気を含んだゆるいハーレム系コメディかと思いきや、小惑星激突による人類滅亡、終末思想を説くカルト教団、殺害予告動画、古来館を襲う謎の男…などなど、シリアスな緊張感を与える要素も徐々に登場し、第一印象からは想像もつかないような重く激しい展開へと進んでいく。 「正義のスーパーお助けマン」を名乗る変人、愛が他の住人に秘密で飼っている小熊、明香の珍妙な発明品と言った、古来館をコミカルに賑わす(騒がす)要素もしっかり重要な意味が与えられている。 アニメ版の時点で、一話放送する毎に公式サイトにてその回の謎や伏線を検証する解説ページが追加されていたほどである。過去の打越作品同様、初めて物語に触れる人はネタバレ回避が強く推奨される。 時空関連のSF部分はinfinityシリーズや極限脱出シリーズ、幽体離脱の部分は『Close to ~祈りの丘~』(*2)を彷彿させ、ある意味では打越作品のミックスとも言える。 三者の人格交換という『Remember11 -the age of infinity-』のような展開もあり、ヒロインやラスボスの過去、敵組織の設定に関してはどことなく『12RIVEN -the Ψcliminal of integral-』(*3)を想起させる。また、バトル・アクション要素は後に打越氏が原案を務めたアニメ『あかねさす少女』の先駆けとも言える。あと、変なヒーローが出る辺りは打越氏のデビュー作に通じる。 ゲーム版のディレクターを務めた中澤氏も実はアニメの企画が始まった2012年頃から既に参加しており、打越氏と共にアイデアを出し合って内容を詰めていっている。そのため、中澤氏のアイデアも「いっぱい詰まっている」との事であり、『Remember11』以来の打越・中澤コンビが生み出した物語と言える。 上述した設定の為、タイトルの「パンチライン」もやはりそっち方面の意味で捉えられがちだが、本来「Punchline」とはコメディやジョークの「落ち」を意味する単語であり、シナリオ上においてもその意味が込められている。勿論、聞いたまんまの意味も込みだが…。 登場人物の性格 古来館の住人は奇抜な人物ばかりだが、基本的にはみな善人。 主人公の遊太は、不条理な出来事に関しては的確に疑問を投げかけてくれる。少なくとも序盤に関しては、複雑怪奇な設定に混乱しがちなプレイヤーにとっては良心的な存在。 単に怪奇現象に巻き込まれただけの普通の少年という訳ではなく、物語の根幹に位置する最重要キーパーソンでもある。幽体として人知れず行動するしかない彼が如何にして人類の存亡を担う存在になっていくのかも見所である。 その他登場人物も出落ちということではなく、きちんとシナリオに役割を果たしている。 ヒロインのみかたんは「正義の味方」として活動しつつも何か様子がおかしく、その過去は物語に深く関わってくる。明香はチートも過ぎるハッキングスキル、開発技術の持ち主だがそれにもしっかり理由があり、物語を良くも悪くも大きく動かしていく。ラブラは霊媒体質故に遊太の憑依先としてお世話になり、愛もその立場から中盤にキーパーソンとなり、終盤には思い掛けない形で活躍する。 古来館の住人以外もそれぞれストーリー上の重要な役割を担っている。 アニメ化の遺産がふんだんに取り入れられている アニメの使い回しと言ってしまえばそれまでかもしれないが、ここまでアニメーションを取り込んでいるものも少ない。アニメ化したものを、きちんと生かしたとは言える。 声優もアニメと同様の布陣。アニメにはなかった文章もフルボイスであり、変なテキストも怪演しきってくれる。 アニメの補完的役割 本題の複雑さやシナリオの構造上、アニメをひととおり見ただけでは話の全貌を理解しきることも難しいだろう。本作はゲーム化したことで各種説明が詳細になっており、バックログ機能も駆使してシナリオをゆっくり理解できるようになった。 テキスト化によって伏線もアニメより分かり易くなっており、主人公の心情も事細かに描写されるのでストーリーに付いて行き易くなった。 元々、ゲーム用のシナリオから重要なエピソードをピックアップし、尺に収める形でアニメ化した作品だけあって描き切れなかったエピソードも多かった。本作はその原型となるシナリオによって『パンチライン』の物語がフルで描かれ、本作で初めて明らかになる事実や要素も存在する。 キャラの掘り下げも行われており、住人達の日常、古来館で暮らしている理由など、アニメでは詳しくは語られなかった部分も補間されている。みかたんが亀を嫌っていた理由も実は結構壮絶(ギャグ的な意味で)。 特にチラ之助はアニメでは最後まで正体不明だった上にラストシーンで更に謎を増やしてしまっていたのだが、本作ではその謎の意味が語られ、正体に関してもうっすらとだが明かされる。また、アニメに比べて遊太に関わる機会が大幅に増えており、終始のらりくらりとしていたアニメと違って真剣になるシーンも描かれている。担当声優も「ああ、チラ之助頑張ってんなぁ…」と応援して欲しいと語っていたほど。 住民側だけではなく、悪役側についても描写が増えて掘り下げられている。アニメでは単なる変質者的な悪者で終わった亀男や、諸悪の根源である壺内Q冥も、それだけでは終わらない側面が描かれている。ラスボスに当たる寺岡龍都はアニメでは第1話で登場して以降は終盤まで出番がほぼ皆無で印象が薄くなりがちだったが、本作では随所で影をパンチラつかせ、存在感を維持している。 アニメでは回想で僅かに出ただけの遊太の姉についても幾らか語られ、ごく一部のシーンでは本人が直接登場する。一方、アニメでは姿を見せたラブラの弟が電話にしか登場しなくなったと言った変更点もある。 明香とムヒが急に仲良くなっていた事、遊太の本体がわざわざニコ生配信を行っていた理由、ナンダーラガンダーラの詳細など、アニメでは描写不足だった点が改善されている部分もある。 ナンダーラガンダーラについては当初の遊太の最終目標だったにもかかわらず、アニメでは早々に探索を忘れられ、中盤~後半のどんでん返しで急に登場するという扱いだったが、今作ではそのシーンまでしっかり探索を続け、ストーリーの緊張感にも貢献している。また、それが用意された経緯についても説明される。 また、「アニメ第9話でチラ之助の忠告に従っていた場合はどうなったのか?(*4)」というゲームならではのif展開も小規模ながら見る事も出来る。 エンディングもアニメ最終回とは大きく異なったものとなっており、アニメ版よりも「最高にハッピーでピースフルな未来」に近い結末で終わる。 + アニメ版のネタバレ含む アニメ版は主人公の死という後味が良いとは言えない結末で、「最高にハッピーでピースフル」とは程遠かった(*5)。遊太が命を賭した事やその結果についてもあまりフォローが無く、エンドロールでも遊太を除く住人達が楽しそうに日々を送る様子が映るなど、人によっては消化不良感の残る「Punchline(オチ)」だった。 対して本作のエンディングでは遊太はしっかり生存し、その後の古来館の面々についてもアニメ版より細かく語られる。ある人物は命を落とすが、それでもアニメ版より明るく希望を感じさせる結末となっている。短い内容だが、後日談のおまけアニメが収録されているのも○。 元々打越氏が想定していた結末はこちらの方であり、アニメ版のラストは監督の意向で変更されたという経緯がある。その為、アニメ版よりもこちらの展開の方が流れとしては自然。 賛否両論点 パロディネタ、下ネタが多い そもそも笑わすつもりなのかも疑わしいパロディが、本編のシステム解説やら日常会話に無遠慮にねじ込まれる。多方面に手を出す傾向があるので回数や密度で言うなら、下手すると『銀魂』よりもひどいかもしれない。 遊太の幽霊ランクを上げるとたどり着く称号に「超高校級霊術師(*6)」「霊騎士07」、「霊・安室」だの「霊・綾波」だのがあったり、ラブラの愛玩人形の名前が「ゴン様(*7)」、イタゴラパートを成功した直後に作れるセーブデータの画像が元ネタそのまんま、アイテムを出すときの音がまんま○ラえもんだったり(*8)、「トゥットゥルー♪チラしぃだよー」「おら、ちんのすけ。ピーマンたべれる?」という台詞(*9)など…。 本作はMAGES.からの発売且つ、打越氏が当時所属していたスパイク・チュンソフトも関わっているので、シュタゲネタやダンロンネタは内輪ネタに含められるかもしれないが、それ以外もかなり無節操なので好みが分かれる。尤も、シュタゲもダンロンも笑わすつもりなのか疑わしいパロディが多いが。 かの有名朝ドラ『あまちゃん』のネタで「じぇじぇじぇ」も出てくるのだが、なまじ流行語になった所為か、遊太にいちいち「古ぃっての!」と突っ込まれる不憫な扱いに。寧ろ本作にねじ込まれたネタの中では割と新しいのだが。 「パンツを見たら人類滅亡」などという設定を臆面もなく掲げる以上、当然作中ではパンチラ、パンモロは何度も飛び出す。また、直接的ではなくとも台詞に下ネタを連想させる表現を仕込んだりなども日常茶飯事である。 アプリケーションを起動すると早速ヒロインのパンチラのご登場である。外出先でPS Vita版をやるのはなかなか勇気が要る。 メインキャラの名前もダジャレである。しかも『逆転裁判』顔負けのストレートなものばかり。 古来館の住人は一目見れば分かる通り、成木野みかたん=正義の味方、台初明香=大発明家、曳尾谷愛=ヒキオタニート、秩父ラブラ=乳ブラブラ。主人公の伊里達遊太も苗字と名前を入れ替えると「幽体離脱」になる。 このうち半数以上は「そう名乗っている」のであって本名は別にある(*10)のだが、よりによって曳尾谷愛は本名である。元ネタの酷さも然る事ながら、愛が引きこもっているのはギャグを挟む余地など無い重い理由があっての事なので、このような形でネタにする事を不快に思う人も居るだろう。 それ以外のキャラはさすがにここまで直球のものは無いが、さり気なくアナグラムや微妙にネタを仕込んだ名前が出てきたりする。 ギャグと伏線が混在する タイトルやパッケージの説明「パンツを見たら人類滅亡!?」から、いかにもバカゲーの類と見てしまいがちだが、少なくとも本筋のシナリオは単なるバカではない。打越作品らしく、そこかしこに伏線が張られている。本編の前半に登場する要素はギャグ、シリアス問わず殆どが伏線だと思って良い程。 ギャグシーンと思しきシーンにすら伏線が張られていることもある。特に遊太がパンツを見ると隕石が落ちてくる理由が本編の重要なカギになる。 チラ之助は随所にお笑い芸人のネタや下ネタを挟み込んで会話をはぐらかすことが多いのだが、事の真相を小出しに話しても来る。 プレイヤーを驚かせる仕掛けとして機能しているのだが、ただのギャグかと思って軽く流したら実は重要な伏線で混乱させられるなどと、ストーリーの把握を必要以上に困難にもしている。 ただ、これでもアニメ版よりは「ひょっとして何か意味があるのかも」と気になり易い作りにはなっている。 総じて難易度が高くない 中盤まで登場するイタズラパート、イタゴラパートにて、結局プレイヤーができる操作は、隣人の部屋に散らばっている総計10程度の物体から、的確になにか出来事を引き起こせそうなものを選択するのみ。誤った選択をしてもやり直ししていればいつかはクリアできてしまう。 ヒントモードがONになっているときに、受けられるヒントが分かりやすいどころかほぼ答えを教えてしまっている。 更にはヒントモードがONになった状態で何度も失敗すると、正解のオブジェクトのみが表示されるイージーモードに入る。 同じ「幽霊が主人公で、何度も時間を遡りながらオブジェクトを動かして攻略するADV」である『ゴースト トリック』に比べるとギミックも極めて簡素である。 「パンツを見てはいけない」というのもたいして障害ではない。L/Rの視点切り替えをしていればパンツをたやすく視界から振り切れる。チラ見どころか、わざと5秒程度ガン見しないことにはゲームオーバーにならない。 見渡せる範囲が狭く、どんなに画面の隅に視界を逃がしてもパンツが映りこんでしまう場合もあり、視界から切る手段が事実上L/Rしかないことも。 ノベルゲーだと思えば、妥当な難易度とも言えなくもないかもしれない。あまりにもギミックの主張が激しいと本編が頭に入ってこなかっただろう。 ただ、それでも「幽体イタズラアドベンチャー」と銘打って前面に押し出していた割にはゲーム性が薄いため、この点を期待すると肩透かしを喰らうだろう(*11)。 問題点 イタゴラパートとゲーム性のつじつまがあわない 登場人物の行動に脈絡が無いことが大半なので、部屋の状況からどのアイテムにイタズラすればよいかを推理しにくい。 啓発ジャンルの本を電子レンジに置き忘れるなど、普通ならまずありえないようなシチュエーションも。電子レンジの中にある理由自体は後に語られるのだが、何故放置されているのかは謎のまま。 バックログのシステムは少々融通がきかない 登場したテキストやシステムによる解説を逐一乗せてくれるのはよいが、アニメから流用した2Dムービーの内容は解説してくれない。 2Dムービー中でもシナリオが展開することがあるので、場合によってはムービーがあったところだけバックログを読み返すと話が飛んでしまうことになる。2Dムービー自体は再視聴することもできるが、本編を1度クリアする必要がある。 イベントの節目で区切ってくれず、ゲームをリロードせずに続けていると、文章量の蓄積がすごいことになる。そして見たい会話を見返すのが困難に。 人類が滅亡して時間を巻き戻すと、以前聞いた会話も聞くことになるのだがこのときのセリフも重複して載せてくる。 ログをジャンプで巻き戻す機能もない。Vitaの場合タッチで巻き戻すといったこともできない。 スティックで送るしかない(スティックを2本同時に上方向に倒し、かつRボタンを押すことでそれなりの速さで巻き戻しできるが若干焼け石に水)。 3Dモーションがバグを疑うほど拙い ○ボタンで会話を送ることになるのだが、その節目節目をまたぐ際のキャラモーションがなめらかにつながっておらず、不自然な瞬間移動することが殆ど(会話終了を待って○ボタンを押してもこうなる)。 キャラクターの周期的な待機モーションですら、その周期の境目がつながっていないことがある。 遊太の左腕を前に突き出すポーズが不気味。なぜか左腕が電気あんまのような普通の人間には出来ない微振動をする。しかも主人公なので何度も見る事になる。 隣人も、どこかから電話がかかってこようがお構いなしにさっきまでとっていたモーション(地べたで転がるなど)をやり続ける。体はピクりともせず声だけで電話に反応するという、かなり奇怪な光景が出来上がる。 さすがにあらゆるキャラにも同じモーションは使い回さないが、ひとつのキャラが同じモーションを使い回すことは多い。声優や2Dアニメはしっかりしているので、ゲーム化でモーションを急遽作って失敗したともとれる。 また、キャラが3Dと言っても基本はその場でモーションを取るだけで、歩いたりはしない(カメラが逸れたり暗転するだけ)。言ってしまえば立ち絵が3DのテキストADVにカメラワークを付けたようなものである。 3Dキャラ自体、古来館の住人達、チラ之助にムヒと言った動物、それ以外が2~3人と少ない。他のキャラは2Dの一枚絵やアニメシーン、或いは声だけしか登場しない。上述したラブラの弟が電話のみの登場になったのも、1シーンしか出ないキャラの3Dモデルを作る手間を省いた所為であろう(*12)。 自由度が高くない イタズラ系統はシナリオにて決められたタイミングでのみの行使となる。このイタズラもゲーム性がほとんど存在しないため、このゲームに割かれる操作の大半はシナリオを読むことになりがち。 クリア後に好きなチャプターを選んでプレイするという特典は一応ある。 ゲーム後半は選択肢を選び物語を分岐させるようなゲーム性に変わってくるが、その分岐の数もほかのADVと比べれば大して多くはなく、間違えた(アニメから外れる)選択肢を選んでバッドエンドになる程度。設定上仕方ないが、バッドエンドの内容もどれも同じ。 イタズラ・イタゴラパート、及びアパートの探索要素が無くなる所為もあり、早いペースでどんどん話数が進んでいく。ストーリー後半のプレイ時間は短め。 アニメの使い回し 評価点でもパンチラッと触れたが、やはり多くのアニメムービーがアニメ版の使い回しであるのは事実である。 特に最終決戦はほぼアニメ11話、最終話をそのまま流しているだけ。ADVでは表現できない怒涛の激闘シーンだが、アニメ視聴済みの人からすると少々退屈。 愛の出撃シーンや幽体に憑依されたラブラが駆け付けるシーンなどはゲーム版の展開に合わせて微妙に台詞やカットが変わっていたりするが、それぐらい。 一方、エピローグ直前はアニメを使い回しているのに展開自体は全く違うものにするという、本作の設定を活かした手法が用いられている。 新規アニメも存在するが、静止画のコマ送りのような演出に音声を付けただけのムービーが多い。特にストーリー前半に目立ち、新規アニメーションは後半まで殆ど無い。 アニメ版の1シーンをバンクのように複数回流用するシーンもあるのだが、元がアニメから切り取ったシーンなのでぎこちなさが生じている部分も。 例えばみかたんがストレンジジュースに変装する演出はアニメ第1話の当該シーンを使っている所為で、最初のみかたんの「了解!」という台詞が前のシーンと繋がっていない箇所もある(元のシーンでは直前の明香の号令にみかたんが応じており、その部分からのアニメを使い回している為、シーンによっては誰も何も言っていないのにみかたんが一人で「了解!」と言っているように見える)。 キャラが口パクしたままフェードアウトするなど、シーンを無理矢理区切っている箇所も。 上述したように各話のEDは曲はオリジナルだがアニメは放送時の使い回しなので、歌とアニメのタイミングがあまり合っていない。 シナリオ展開が若干変わっている所でアニメをそのまま使い回した結果、不自然になってしまっている箇所もある。 + 例えば ストレンジジュースの正体がみかたんだとバレるシーンは、アニメ版では「亀男の攻撃で仮面が砕け、その事に気付かず住民達の前に出てしまった為」だったのだがゲームではこの時点ではバレず、戦闘後もストレンジジュースの姿で会話をする。 しかしムービーの中に仮面が砕けるシーンがそのまま残っているので、砕けた仮面がいつの間にか復活している構図になってしまっている。また、アニメ未視聴者からすれば、仮面が砕けるシーンは謎の演出でしかない。 一方、みかたんと明香の会話を愛とラブラが盗み聞きするシーンでは、3Dとの兼ね合いの為にみかたんの服装がしっかり普段着に直されている(*13)。 他にも後半でグリーゼを追い詰める場所は川辺から神社に変わっているがそこもちゃんと修正されている。手間が掛かるのは判るが、これぐらいの修正が全体に掛かっていれば良かったのだが。 アニメとの関連性 本作のアニメとの関連性は発売前のインタビューの時点で明かされているが…。 + ネタバレ 『パンチライン』は一種のループものであり、アニメ最終回で人類滅亡は回避されるが、別のループがまた違う時空で始まる事が語られていた。ゲーム版のループ回数はアニメよりも2回分増えており、本作はその別のループを取り上げたストーリーとなる。 しかしアニメとの関連性はこれと言って無く、精々「無数のループの中で成功した周が存在する」と軽く語られる程度である。アニメの時の周が何らかの影響を及ぼす事も無く、結末こそ違うが大筋の展開はアニメと同じである。アニメと一体どんな形で繋がるのかと期待すると肩透かしを喰らう事に。 アニメ版の展開を知っているはずのチラ之助もその事に関しては上述の軽く語るシーン以外は触れる事も無い。霊界の掟によって必要以上の真実を口に出来ない為ではあるのだが、アニメとほぼ同じ行動を取っているはずの本作の遊太を特別視したり、「こんな歴史、おいらは初めてなのら」というアニメと同じセリフを言うのは少々違和感が拭えない(*14)。 確かに元々ゲーム用の企画であり、シナリオもゲーム版の方が先に出来ていた訳だが、発売から一年も先行してアニメを放送していたのだから、何かしらのリンクや仕掛けが欲しかった所である。 また、ゲーム版でループが完全終了という事はなく、エンディングではアニメ同様、また別のループが始まってしまう。本作の構造上、人類滅亡が回避されようがされまいが「次の遊太」は必ず発生してしまうので、本作主人公の遊太にとってのループは終わっても、別の時空におけるループ自体は終わらないのである。 但し、アニメ版のような含みを持たせたラストシーンの演出は無く、本作の遊太の物語としては綺麗に完結している。 アニメ視聴済みだと驚きが殺される部分がある 1年も先行してアニメを放送した関係上、仕方なくもあるのだが、アニメ視聴済みだとストーリーが分かってしまい、打越氏の作風である「謎が謎を呼ぶミステリアスSF」の展開や、真相解明によるカタルシスも大きく削がれてしまう。 更に本作はアニメに比べて謎や伏線、ミスリードを誘う展開が増強されているのだが、大まかなストーリーはアニメと同様なので、アニメ視聴済みだとそれも全部オチが分かってしまう。 一応、結末はアニメと同じだと思っていたアニメ視聴者を驚かせる内容にはなっているが…。 無論、アニメ未視聴者には問題にならない。 総評 読み物としてはなかなか奇怪な構成と設定をかかげた先鋭的な内容。この奇怪さをゲームシステムでも演出しようとしたことにより、ひとつのゲームとしてはなかなか歪に仕上がってしまった印象が持たれる。良く言えば商品として異彩を放てたし、悪く言えばゲーム性が弱い。アニメを流用した2Dムービーと不出来な3Dアニメーションも調和が取れているとは言い難く、ノベルゲームとしても歪さが否めない。 但し、先行して放送されたアニメ版のストーリーはほぼ全て内包しつつそれを補完する部分もあり、また結末もアニメより綺麗にまとまっている為、アニメ未視聴者が新たにこの複雑怪奇な世界に触れるには丁度良いし、アニメ視聴済みの人でも物語の理解を深めるのには貢献してくれるだろう。 余談 本作発売よりも前から、コミカライズ版『パンチラインMAX』が連載されていた。 内容はアニメ版の後日談だが、ゲーム版はエンディングがアニメとは異なるのでそちらには直接は繋がらない。別の形で同じ事件があったと解釈出来ない事も無いが。 本作発売の約2ヶ月後には同じ打越作品であり、極限脱出シリーズ完結編の『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』が発売されている。 本作はこの通り基本はおバカなノリで勢い重視のコメディ作品だが、あちらは徹底して硬派で重苦しい作品である為、打越氏はほぼ同時期に正反対の作風のADVを二つリリースした事になる。 1988年に同名の映画がアメリカで上映されたが、本作とは全くの無関係である。上述した通り「Punchline」は本来は「オチ」という意味なので、当然この映画のタイトルもその意味で付けられたものである。 『RULE of ROSE』の開発会社も同名だが、勿論関係無い。 打越氏が後に手掛けた『AI ソムニウム ファイル』は繋がりは無く作風も異なるのだが、キャラデザインや設定の一部、ぶっ飛んだギャグ・パロディなど、どことなく本作を思わせる部分がある。 また、探索部分も本作の反省を生かしたかの如く大幅にゲーム性が拡充されており、一筋縄では行かなくなっている。 アメリカ、ヨーロッパでは約2年遅れの2018年に発売。極限脱出シリーズは元より、『Ever17 -the out of infinity-』や『ルートダブル -Before Crime * After Days-』などの過去の打越・中澤作品同様、何だかんだで本作もまた海外進出を果たした。 2019年5月23日にはWindows版がSteamにて配信開始。全世界配信のため、海外PS4/PSV版同様イギリスのPQubeがパブリッシャーとなっている。「海外版である『Punch Line』の配信」という扱いではあるが、UI/音声/字幕は日本語対応。 本作で再びタッグを組んだ打越氏と中澤氏だが、後に両氏ともトゥーキョーゲームスに移籍。2021年にはまた両氏が監督・脚本を務めた『ワールズエンドクラブ』が発売された。